超巨大地震の予測

2012年1月19日のクローズアップ現代では、「なぜ予測できなかった超巨大地震-苦悩する地震学者たち」という題で放送していました。

苦悩する地震学者たち

『地震学は敗北した』東日本大震災発生後、はじめて開かれた2011年10月の日本地震学会のシンポジウムは、異例の“敗北宣言”で幕を開けたそうです。

世界最高水準を自負してきた日本の地震学は、なぜマグニチュード9.0の大地震を予測できなかったのか。研究者に動揺が広がっています。

「ヒントが無かったわけではない。思考停止に陥っていた。想定外は逃げ道だ」と言っている地震学者もいました。

マグニチュード楽天 9という情報を知り、愕然とした。1960年代に地震学を学び始め、1995年に阪神・淡路大震災を経験した。この度の東日本大震災も事前に予知できなかった地震学というものは?」

地震のメカニズムを調べ、前兆現象を探り、大地震を予知したいが、直前の余地は極めて困難だとか。

外れた長期予測

長期予測も大きく外れました。

今回の東日本大震災の震源辺りより陸地側に大地震が起きると予測し、幅150Km、長さ450Kmを6つの地域に分けて長期予測を行なっていました。

この中でも最大がマグニチュード8.2ぐらいの予測でした。しかし、実際にはマグニチュード9.0でした。マグニチュード9はマグニチュード8の30倍以上のエネルギーを持つそうです。

そして、30年以内に99%の確率で起きるとされていました。

地震の発生メカニズム

三陸沖の海底で、太平洋プレートのしずみこみによって、ゆがんだ北アメリカプレートがはね上がったと考えられるようです。また、深海調査研究船「かいれい」によると、北アメリカプレートの地形パターンが南東に約50m動いて、約7mもり上がっていたことがわかったそうです。

アスペリティ
アスペリティとは、2つのプレートが強くくっついた場所で、地震の時に大きくずれる部分のことです。このアスペリティは地震計の波形を見て位置を探ります。

岩手県釜石市沖では、マグニチュード5が何回も起きていました。2001年11月末までに99%の確率でマグニチュード4.8前後の地震が起きると予測しました。そして、11月には予測どおりの地震が発生しました。

アスペリティを調べれば、地震の規模や発生時期を予測できるのではないかとして研究者たちの期待が高まりました。が、それも外れました。知られざる巨大なアスペリティが、予測されていた震源域より沖側にあったのです。

アスペリティの特定には過去約100年間に記録されてきたデータが使われただけです。それより長い周期で活動するアスペリティを把握できていませんでした。アスペリティがどのように関わってマグニチュード9を引き起こしたのか、まだ解明できていません。

100年前には地震計がないからデータはありませんし、アスペリティモデルは単純化しすぎていたということが明らかになったそうです。まだ、理論的に予測できる段階にきていないと地震学者は言っています。

地震学者の思い込み

阪神・淡路大震災以降、全国にくまなく張り巡らされたGPS観測網があります。

陸地の動きを解析すると沖合に大きなひずみがたまっていても、おかしくないという指摘がありました。しかし、多くの研究者はこの見方に否定的だったそうです。それは、同じ東北沖で発見された「ゆっくりすべり」という現象でした。

根拠のない思い込み、ヒントがなかったわけではない、思考停止、きちんと考えていなかった、などの思いがあるようです。

「世界で初めての発見もしてきた。過去100年でも5回しか起きていない、自分たちの足元で起きるとは思っていなかった」とも言われています。

GPSを使って調べる

GPSで地面のひずみを調べています。太平洋沿岸で、1年間当たり2、3センチぐらい内陸に向かって押し込まれるような動きがあったそうです。これは、沖合のプレート境界の所で陸側と海側がくっついて、引きずり込まれていて、広い範囲のアスペリティがあったことになります。

しかし、ゆっくりすべりもあるし、それがGPSが観測していないときに起きていたとすれば、このひずみのすべてが地震を起こすものではないかもしれない、その可能性が否定できなくて、結果的にマグニチュード9の巨大地震の可能性を指摘できなかったようです。

これからの地震予測、他分野の人との連携

コンピューターシミュレーションを使って巨大地震の予測に取り組んでいる古村孝志教授は、異なる分野との共同研究に活路を見いだそうとしています。相手は高知大学の岡村教授(地質学)です。

高知大学の岡村教授(地質学)は、「海沿いの池は津波のレコーダーであり、3000~5000年の歴史が積もっています」と言われます。海沿いの池には海の砂などの津波の堆積物が貯まって地震の周期を教えてくれます。

今2人は、東海・東南海・南海地震が同時に発生する3連動地震について研究しています。

古村教授が当初、考えていた震源域は駿河湾から足摺岬まででした。が、岡村教授が大分県の龍神池で巨大津波の痕跡を発見したことで見直しをしました。

古村教授は、シミュレーションを繰り返した結果、震源域を日向灘まで広げれば説明がつくことに気付きました。

高知県の蟹ヶ池では、2000年前の津波堆積物が見つかりました。マグニチュード8.6と推定される江戸・宝永地震の4倍もの厚みがあったそうです。

2011年3月に起きた東日本大震災のメカニズムを調べていくうちに一つの可能性が浮かびました。この地震では古村教授のモデルでは地震が起きないとされてきた海溝付近が震源域になっていました。

西日本でも同じ現象が起きる可能性があります。シミュレーションで想定されるマグニチュードは9前後、 津波の高さは最大で従来の2倍の20mに達しました。

津波堆積物の研究は、約20年前から始まったばかりです。東北の津波、仙台平野を襲った津波を本当によく調べられたのはこの10年ぐらいのことで、その成果がようやく2010年にまとまったところだったそうです。

地震学、地質学などは縦割りで、他の分野の人とはなかなか連絡が取れませんでした。これからは、他分野の人とも連携して研究を進めていくようです。

地道な研究をして、いつかは防災に役立てるようにしたいと言われていました。

そして、地震列島に住む私たちは、いつでも備えを怠らないことが大切だとも言われました。

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更新日:2020/03/15