休眠口座
「あさイチ」で2012.3.17に休眠口座について詳しく放送していました。これから休眠口座をどのように活用するか、政府、銀行、国民の合意が必要となります。休眠口座のお金を社会のために有意義に使って欲しいものです。
休眠口座になった経緯
30歳代の男性は、休眠口座を持っています。
学生時代は大阪に住んでいて、アルバイトをしていたために、アルバイト料を振り込んでもらうために銀行口座を作りました。その後、東京で就職し、結婚もしました。
アルバイト料の5000円が口座に残ったまま、放ったらかしで10年が過ぎました。
残高1万円未満は、銀行からの通知はない
口座の出し入れがなく、10年を過ぎたら休眠口座として取り扱われます。そして、残高1万円未満は、銀行からの通知はありません。
休眠口座として、銀行で処理されます。これは、銀行の利益として計上されることになります。しかし、年月が経っていても、本人が手続きをすれば返金されます。銀行は利益として計上するために、相当額の税金も納めています。
東京で下ろそうと思ってもできない、手続きが面倒で諦めた人も多い
大阪支店で作った銀行口座楽天 は、東京のキャッシュコーナーで下ろそうとしてもエラーになってしまいました。窓口で尋ねると、紹介も解約もできませんでした。銀行のオンラインシステムでも発見できませんでした。
銀行では、常に新しいお客さんのデーターが入ってくるので、10年間も放ったらかしの口座は、オンラインシステムから取り出され、紙の帳簿となって、開設した大阪支店で保管されています。
そして、この帳簿が膨大なものになっているので、手作業で探すには1週間もかかると言います。また、解約の折には、本人確認の書類、印鑑、通帳などが必要となってきます。また、住所変更をしているから、そこにいた証明として戸籍謄本なども必要となるようです。
交通費などもかかるし、書類等を揃えるのも面倒なので諦める人も多いそうです。
休眠口座について
日本全国に、上記のような理由もあって、年間850億円が毎年休眠口座に仲間入りしているそうです。本人の引き出しを受けて残るのは、年間500億円と言われます。休眠口座の9割ほどが、1万円未満だそうです。
昭和60年に、銀行法で、5年間出し入れがなければ、銀行のものになり、本人の請求があれば何年経っても本人へ返すということが決まったそうです。
しかし、国の指導により、10年間に伸び、1万円以上の場合には通帳を送り、宛先不明等で返ったものについては銀行の利益とすることになったようです。銀行の利益になり、銀行は税を払っています。だから、この度の休眠口座を国のものにという策に、銀行も不服を感じているようです。
休眠口座が増えた理由
1990?年代前後かと思いますが、銀行が「預金してください」と言って家々を回っていたことがあります。そして、集めたお金は、企業などに貸し出していました。
しかし、今の銀行は預金よりも投資に力を入れています。国をあげて、貯蓄から投資へと変えてきました。
銀行がしゃにむに口座を集めていた頃には、口座開設記念品として、大皿などが出されました。記念品につられて口座を開設した人も多かったようです。
そして、日本では、12億口座も出来ました。国民1人当たり10口座になります。これでは、管理できなくなって当たり前の状態ですね。
また、給料の振込をこの銀行で、給食費の引き落としはこの銀行をと指定される場合もあり、どんどん口座は増えていきました。
また、3つくらい銀行口座を持っていると、就職に便利だと言われた時代もあったそうです。芸名で口座が作れた時もありました。
銀行の統合・再編が行われ、連絡先がわからない場合も
休眠口座があっても、銀行が今はなく、統合・再編されて請求先は不明な場合もあるようです。
1969年には15行あった都市銀行も、2011年には6行に減ったそうです。
郵貯の権利消滅制度
- 平成19年9月30日以前に預け入れた定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金
- 満期後20年2か月を経過しても、なお払戻しの請求等がない場合には、旧郵便貯金法の規定により権利消滅します。満期の際には早めに手続きをしましょう。
- 平成19年9月30日以前に預け入れた通常郵便貯金、通常貯蓄貯金
- 平成19年9月30日の時点に、最後の取扱い日から20年2か月を経過していない場合には、他の金融機関と同様、最後のお取扱い日(郵政民営化前に権利消滅となった通常郵便貯金および通常貯蓄貯金を除き、平成19年10月1日以後に一度もお取扱いがない場合は、平成19年10月1日)から10年が経過した場合には、休眠口座として預かり、払戻しの請求があれば支払ってくれます。平成19年9月30日の時点で、最後の取扱い日から20年2か月を経過している場合は、旧郵便貯金法の規定により既に権利消滅しております。
- 平成19年10月1日以後に預け入れた貯金
- 他の金融機関と同様、最後の取扱い日または満期日から10年が経過した場合には、休眠口座として預かり、払戻しの請求があれば支払いされます。
韓国での休眠口座の活用例
韓国でも、昔は休眠口座は銀行のものでした。
現在では、休眠預金管理財団をつくって運営しています。休眠預金管理財団へは、銀行、郵便局、保険会社などから休眠口座のお金が入ってきます。2010年で630億円入ってきています。
休眠預金管理財団は、休眠口座を持っている人のサポートも行います。インターネットで検索すれば、休眠口座の照会ができるようにしています。毎日4000~5000人が照会し、2~3割の人に返金されているようです。
集められて630億円は、うまく社会で活用していきます。福祉団体への融資、低所得者層への融資、小規模事業者への融資などです。低い金利で貸し、商売がうまくいくように相談も受けます。お金の使い道もサポートするので、貸し倒れが2%と少ないそうです。
そして、この休眠預金管理財団の運営については、国民の納得を得られています。
日本での休眠口座の活用法は
日本では、年間850億円の休眠口座からのお金があります。そこで、案として350億円を本人に返し、200億円を返金用として残しておきます。後の300億円を日本版休眠口座基金として活用していこうというものです。
東日本大震災の被災者への小口貸付、児童養護施設の児童への奨学金などに使おうという計画です。そして、この団体には、絶対に天下り先にさせないこと、ちゃんとした審査で責任者を選ぶことが大事だと言います。
休眠口座の活用を阻む壁
1300もの銀行を統合して、口座照会のシステムを作らないといけないので、それにかかるコストの問題があります。
もう一つは、銀行と国民からの合意が必要です。
この2つをクリアできれば、韓国のように休眠口座が社会に有意義に使われていくと思われます。
2012年4月中旬には、政府はだいたいの方向を示すようです。今後の行方に注目していきたいものです。