放射能の健康被害

2011年3月11日に起きた東北・関東大地震の揺れと津波の影響を受け、福島第一原子力発電所の第1~3号機では、原子炉の中の水位が低下して核燃料棒が露出しました。核燃料は損傷し、大量の放射線物質が外へ漏れている可能性があります。

福島第一原子力発電所から半径20kmまでは避難指示、半径20km~30kmまでは屋内退避の要請が出ています。

人体への放射能の影響が心配です。どの位の量でどんな被害があるのか調べたいと思います。

シーベルトとは

シーベルトとは、放射線を被爆した時の人体への影響を表す単位です。

一般の人が1年間に自然界から被爆する線量は、世界平均で2.4ミリ・シーベルト(1ミリ・シーベルト=1000分の1シーベルト、1ミリ・シーベルト=1000マイクロ・シーベルト)となっています。

日本での年間被爆量は、1.5ミリ・シーベルトです。

人間は、X線撮影、宇宙から降り注ぐ宇宙線、食べ物や体内に含まれる微量の放射線を出すカリウムなどを通じて被爆しているそうです。

放射線楽天 被曝と健康被害

一般的な目安は、100ミリ・シーベルトを超えると健康に影響が出る危険性が高まると言われています。

外部被曝と内部被曝

外部被曝
外部被曝は放射線源(放射性物質)が体の外にある時で、代表例は医学診断の際のレントゲン検査です。
内部被曝
内部被曝は、放射性物質を体内に取り込むことで被爆することです。特に問題になるのは、放射性ヨウ素、セシウム、ストロンチュウムなどの被爆です。チェルノブイリ原発事故では、ミルクが放射性ヨウ素に汚染され、5000人以上の子どもに甲状腺がんの患者が確認されているようです。

放射性ヨウ素は、甲状腺に集まって長期にわたって内部被曝を起こし、甲状腺がんなどを起こします。放射性ヨウ素の半減期(放射線の量が半分になる期間)は約8日です。長時間かけて水脈に染みこむ地下水は、すぐに影響が出るかどうか分からないようです。体に入った放射性ヨウ素は、5~10%が取り込まれ、後は尿や便に排出されるそうです。

セシウムは土壌物質と結合して不溶性となるようです。土壌が十分に施肥された状態では、カリウムやアンモニウムがセシウムと強く競合して、セシウムが植物の根に吸収される割合が低くなるそうです。セシウムは、体内から排出されやすいが、筋肉や血液に入ると骨髄や腸管が障害を受けがんなどの原因となるそうです。

セシウム137は、原子力発電の燃料のウランが核分裂した時に生じる放射性物質です。セシウムの半減期は30年と長く、土壌粒子と結合しやすいため農作物を通して体内被ばくの原因ともなります。「死の灰」の一つと言われています。米スリーマイル島原発事故(1979年)や、旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1989年)後も大気中から検出されています。

ストロンチウムもセシウムと同じく、土壌や植物の生態に影響があります。汚染された牧草で飼育された家畜は、出荷前の適当な期間、汚染のない飼料で飼育して家畜体内の放射能を除去するそうです。家畜の飼料にセシウム結合剤を混ぜて食べさせ、セシウムの胃への吸収を阻害する方法もあります。ストロンチウムは骨に集まり、白血病を発症させる恐れがあります。

ストロンチウム90は、半減期が28.8年です。体内に入ると電子配置・半径が似ているため、骨の中のカルシウムと置き換わって体内に蓄積し長期間にわたって放射線を出し続けるので、大変危険だそうです。原発事故で放出される量はセシウム137と比較すると少ないようです。

土壌中のセシウムを減らす方法、「ひまわり作戦」

ウクライナのチェルノブイリでは、現在、秋まきのアブラナをチェルノブイリ原発から西70kmの村に植えています。収穫した菜種からバイオ燃料を作ります。アブラナの根は地中の放射性セシウムやストロンチウムを吸収するために、土壌浄化の効果も見込めるそうです。

日本では、「ひまわり」が98%のセシウムを取り込むので、「ひまわり」による土壌からセシウムを取り除く方法も検討されています。

カリウムとセシウムがよく似ているために、ひまわりが勘違いしてセシウムを取り込むそうです。しかし、土壌の放射能が高い地域へ入って人間がひまわりの種をまくことは不可能です。

そこで、農業ヘリコプターによる種まきが考えられています。ひまわりの種には、水分を含んだプリプリ状のコーテイングを施し発芽しやすいようにしておきます。鳥に食べられないようにコーティングの上からラメをまぶすようです。これは、高校生のアイディアだそうです。

そして、成長したひまわりは、刈り取って処分しますが、「高温好気堆肥菌」という菌を使って処分するというアイディアです。この「高温好気堆肥菌」は、ネズミの死骸を1日で毛だけにするという優れもののようです。

ひまわりの処分量を少なくしないと、このセシウムを含んだ残骸物は、結局地中などに隔離閉鎖して閉じ込めなくてはならないのです。

ひまわりが、どの成長過程で一番多くセシウムを取り込んでいるのかも研究されている段階です。

日本の様々な叡智を結集して、よりよい放射能の閉じ込め方法、土壌改良方法を素早く見つけて欲しいと切望します。

放射線による急性障害と低線量放射線リスク

放射線の影響は、被曝線量に左右されますが、がんの感受性は成人よりも子供や胎児が3倍高いそうです。

急性障害
放射線を一度または1年以内に全身に大量に被曝すると、吐き気、下痢、頭痛、やけど、脱毛、意識障害、白血球の減少などの「急性放射線症候群」が起きるそうです。放射線量が多いほど早く、強く出ます。
低線量放射線リスク
低線量放射線リスクは、10年ほどして起こりうる発がんの問題です。個々のケースではわからず、被曝の有無の集団として統計的にとらえるべき影響だそうです。被曝により将来がんになる確率は、1シーベルト(1000ミリシーベルト)当たり10%(急性被ばく)、または5%(長期被曝)程度高まると推定されています。

「高線量被曝防護の目的は、身体的障害を抑え、低線量被曝については、がんのリスクを0.5%以下にするのが主眼」と、国際放射線防護委員会(ICRP)の佐々木氏は話しています。

被曝には2つの健康影響があり、低い線量なら全く安心というわけではありません。がんのリスクが少し高まるので、なるべく放射線は浴びないようにしたいものです。

ベクレルとは

ベクレルとは、放射能の強さや量を表す単位です。1ベクトルとは、1秒間に原子1つが崩壊することを表します。

放射性物質は、原子が崩壊して放射線を出します。放射線を出す能力を放射能といいます。

ラジウム温泉1リットルで約10万ベクレル、人体では約6000~7000ベクレル、たばこの灰1gで約5.9ベクレルあります。

食品栄養法によるベクレルの規制値

放射性ヨウ素については、飲料水や牛乳で1kg当たり300ベクレル、野菜類は1kg当たり2000ベクレルの規制値となっています。放射性ヨウ素は、野菜の表面に付きまが、根からは吸収されにくいようです。だから、根菜類には付きにくいと言われています。キャベツなどは、表面の葉を何枚かむけば、放射性ヨウ素を大幅に減らすことができます。葉物野菜は、水につけ洗いすることで1/2に、茹でることで1/3に減らせるそうです。

放射性セシウムについては、飲料水や牛乳で1kg当たり200ベクレル、野菜や穀類、肉、卵などは1kg当たり500ベクレル以下と定められています。

ウランについては、乳幼児用食品、飲料水、牛乳で1kg当たり20ベクレル、野菜や穀類、肉、卵などは1kg当たり100ベクレル以下と定められています。

プルトニウムについては、乳幼児用食品、飲料水、牛乳で1kg当たり1ベクレル、野菜や穀類、肉、卵などは1kg当たり10ベクレル以下と定められています。

上記の規制値を超える食品は、食用に回らないように自治体などに求めています。

野菜の摂取制限・出荷制限について、2011.3.23

菅総理は、2011年3月23日に原子力災害対策特別措置法に基づき、福島県の葉物野菜やブロッコリーなどについて摂取制限と出荷制限を指示しました。

出荷制限は3月21日の段階で、1年間食べ続けると初めて健康に影響が出る可能性のある暫定規制値を超える放射線量が一部で検出されたことから、福島、茨城、栃木、群馬県のホウレンソウとカキナ、福島県の原乳について出荷自粛が指示されていました。

23日にはこれが拡大し、茨城県の原乳とパセリ、福島県のホウレンソウ、コマツナ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどの出荷を控えることが指示されました。

また、福島県で生産された農産物のうち非結球性葉菜類、結球性葉菜類、アブラナ科の花蕾類の農産物(ホウレンソウ、コマツナ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなど)については、出荷制限よりも重い摂取制限の指示も出されました。当分の間は食べないように呼びかけられています。

葉物野菜の放射性物質

福島県は、放射性物質が付着しやすい葉物野菜を中心に15品目35件を検査しました。

放射性ヨウ素131は規制値は1kg当たり2000ベクレルですが、10品目21件で規制値を超えました。放射性セシウムは規制値は1kg当たり500ベクレルですが、11品目25件で規制値を超えました。

セシウムで一番値が高かったのは、本宮市のクキタチナで、規制値の164倍に当たる8万2000ベクレルでした。1日100gを10日間食べ続けると、1年間に浴びる自然放射線量(2.4ミリシーベルト)の半分を超える計算となります。

食品の安全に詳しい専門家は、「今後、市場に出回る野菜は安全なので、冷静に行動して欲しい」と話しています。

東京の浄水場で放射性物質を検出、乳児に水道水を飲ませないように呼びかける2011.3.23

東京都は、金町浄水場(東京都葛飾区)から、乳児が飲む暫定規制値の2倍を超える放射性ヨウ素131を検出したと発表しました。

金町浄水場は、利根川支流の江戸川から取水しています。そして、東京23区、武蔵野市、三鷹市、町田市、多摩市、稲城市に水道を供給しています。この地区には合わせて約960万人が居住しています。

東京都は、乳児に水道水を飲ませないように呼びかけています。また、病院や保育所などにも注意を促しています。

金町浄水場の22日午前9時の採水では、1kg当たり210ベクレルの放射性ヨウ素を23日に検出しました。食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定規制値は100ベクレルとなっています。23日午前9時の採水では、1kg当たり190ベクレルの放射性ヨウ素を検出しました。一般の規制値は300ベクレルで、成人などの飲用には問題ありません。

金町浄水場は、福島第一原発から約200km離れていますが、原発の影響であることは間違いありません。大気中の放射性物質が降雨により、江戸川の上流にあたる利根川に落ちたのではないかと推測されています。

また、福島県いわき市の水道からは、103ベクレルの放射性ヨウ素が検出、茨城県常陸太田市の浄水場でも245ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたことを23日に明らかにしています。

妊婦への放射性物質の影響については、厚生労働省は「成人と同じ」としています。

ベクレルからミリシーベルトへの換算・計算

食品を食べた時の体への影響はベクレルからミリシーベルトに換算して計算します。

ヨウ素131は、ベクレルの数値に10万分の2.2をかけます。

セシウム137は、ベクレルの数値に10万分の1.3をかけます。

原発事故時の日常生活の注意点

屋内退避地域

屋内退避地域でどうしても外出したい場合

感染症と心の病に注意

インフルエンザなどの感染症、不安や不眠による心の病が問題となります。せき、発熱などが出たらすみやかに医師にみてもらうようにします。

心の病は、思ったことや心の内を近くにいる人に話すことが大切です。避難所などでは、保健師などに話してみましょう。

子どもへの対応

子どもは、何が起きているのか理解しにくく、不安を感じるので、わかる範囲での説明が必要です。

就学前なら、「地震が起きて、電気を作っている施設が故障し、閉じ込めていた危ない物が外に出ているから、今は家で過ごそうね。今一生懸命直しているから、大丈夫だよ」などと説明するとよいそうです。

また、テレビニュースでは、連日家が壊れている津波の映像が流されています。子どもも親の顔を見て不安になっています。「一緒にいるから、大丈夫だよ」と安心させるようにします。

昼間はなるべく体を動かすように、親子で体操をしたり、家事を手伝わせるようにします。寝る前には、絵本の読み聞かせたり、子守唄を歌ったりしてあげます。また、甘えてきた時には、十分甘えさせます。

退避地域以外

原発から半径50kmくらいの地域に住む人は、できるだけ外出を控えた方がよいそうです。出かける時には、皮膚を出さないようにします。帰宅したら、顔や体をシャワーで洗い流しうがいをします。

安定ヨウ素剤、高い予防効果(甲状腺がんの予防)

一定線量以上の放射性物質にさらされた直後、さらされる危険性が高い時に、安定ヨウ素剤を服用し、健康被害を防ぐことができるそうです。

原発事故で放出された放射性ヨウ素を体内に取り込むと、甲状腺に集まり、特に子どもに甲状腺がんの発症リスクが高まります。

安定ヨウ素剤は、放射能を持たず、服用すれば甲状腺の組織と結びつき、放射性ヨウ素の入り込みブロックするので、被爆を低減できます。予防的に飲むのが最も効果が高いようです。

放射線にさらされて6時間以内の服用なら効果が大きく、24時間以上経つと既に甲状腺に放射性ヨウ素が集まっているので効果は薄まるそうです。40歳以上では甲状腺がんの発症リスクが低いために、服用は40歳未満が対象だそうです。また、甲状腺機能異常症、ヨウ素アレルギーの人には使えません。

放射線物資のセシウムにも、体外に排出させる薬(キレート剤)があるようです。どちらの薬も医療機関で必要と判断された時に限り処方されます

梅と赤紫蘇がキレート剤の役割をする?

本来、キレート剤とは、同一金属イオンに対して2つ以上の官能基が同時に配位できる化合物をキレ−トと呼び,これを利用した物をキレ−ト剤と呼ぶそうです。金属を一ヶ所に集めたい場合、例えば廃液中の有害重金属をキレ−ト樹脂で捕囚する時、溶液中の希少金属を集める時などに使う物のようです。

キレート剤を調べていたら、興味深いHP、NPO法人伝統食研究会に行き当たりました。その内容は以下の通りでした。梅は健康に良いし、値段も手頃なので試して損はない気がします。

食べ物に付着した放射性物質を除去するクエン酸3084mgの使用方法
野菜等は、流水でよく洗い流し、梅エキスのキレート作用を活用するために、水の中に梅果紫蘇(約30cc)を入れ、少し浸してから使用してください。尚、今後、被ばくした土地から取れた野菜や放射性物質が付着している野菜が出回る可能性も考えられますので、継続的にご使用ください。さらに、梅果紫蘇を料理に入れ、体の中からキレート作用で放射性物質(重金属)が出やすいように心掛けてください。
水に入った放射性物質から体を予防するクエン酸3084mgの使用方法
水は、食べ物と同様、放射性物質が入りやすいので、注意してください。特に飲料水は、梅エキスのキレート作用を活用するために、梅果紫蘇を入れ、飲用ください。

牛尾盛保博士は、被ばく者を梅で治したと報告されておりますし、他にも様々な先生方から、重金属(放射性物質は重金属です)は、梅エキス(クエン酸)のキレート作用により、人体から排出されるとの文献も出ております。

妊婦さん、授乳中の女性の場合

日本産科婦人科学会は15日、「計50ミリ・シーベルト以上被爆した妊婦や、授乳中の女性」は、甲状腺がん予防のために50ミリ・グラムの安定ヨウ素剤2錠を1回服用することを勧める見解を公表しました。

服用した妊婦の胎児や授乳中の女性の子どもは、甲状腺機能異常が懸念されるので、安定ヨウ素剤投与後は検査が必要です。

ヨウ素入りうがい薬の飲用には注意!

ヨウ素が入っているうがい薬、のどスプレーがありますが、内服薬として作られていません。飲むと体に有害な物質も含まれているそうです。自己判断で飲むと危ないようです。

ワカメ、海藻にもヨウ素が含まれていますが、十分な効果が期待できるかどうかは不明だそうです。

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更新日:2020/03/15