パートで働く人の厚生年金

2012年2月15日の「あさイチ」で、今までパート労働者は週30時間以上働く場合には厚生年金に加入していたのですが、近く週20時間以上に変更される可能性が高くなり、その影響を推測していました。

主婦の人、独身のパート労働者、中小企業でパートの人を雇う側の人達、それぞれの立場での変更による影響が出そうです。

週20時間以上働くと厚生年金へ加入に

政府の「社会保障と税の一体改革に関する集中検討会議」で、パートなど非正規労働者が厚生年金へ加入するための対象条件を、週30時間以上から週20時間以上に引き下げる方向で検討が進められています。

「社会保障と税の一体改革」では、具体的には下記のことを実施していくようです。

  1. 低年金者への加算
  2. 国民年金の最低加入期間の短縮
  3. 厚生年金の適用拡大・・・週30時間以上を週20時間以上に変えると、370万人が関係してくるそうです。

「週20時間以上で、厚生年金に加入」を期待している人

ある女性は、4年前に離婚し2人の子どもと暮らしています。事務員として、1日5時間で週4回働いています。月にパート代8万円と養育費12万円の合計20万円で暮らしています。

国民年金の保険料の支払いは、月に15020円です。厚生年金に代わると保険料の半分は会社が持ってくれるので、支払いは月に8000円で済みます。

そして、40年後には、国民年金は月に65742円(平成23年度では)もらいますが、厚生年金の場合には、それにプラスして月に10700円増えることになります。

現在の掛け金も7000円ほど安くなり、将来の年金も1万円ほど毎月増えるという良いことづくめです。

「週20時間以上で、厚生年金に加入」に反対意見の人

外食産業などのパート従業員を多く雇う企業では、週20時間以上で、 厚生年金楽天 に加入に変更されると、追加負担が9億円となるそうです。

売上が増えない今の現状では、とても経営が苦しくなります。

社員12人、パート従業員60人の清掃会社では、週30時間未満で働いている人が殆どです。厚生年金保険料の負担増加を試算すると、60人で1人8000円合計は、月に48万円になります。

社長は、これでは経営できないので、人数を増やして一人が週20時間より下にしてもらうことになり、安定雇用ができなくなると言います。

そうなると、パート労働者は、仕事の掛け持ちをしなくてはならず、ますます働きにくくなります。

また、不採算店舗の閉鎖が行われたりすると、近くの店で働けなることも考えられます。

会社の負担が大きい

平成22年度の厚生年金保険料の滞納事業所は、16万2000事業所で、滞納額は4770億円となっています。
平成23年度の滞納事業所は、19万事業所となり、3万事業所も増えているそうです。

日本年金機構では、強制徴収や財産差し押さえも行なっています。が、事業所が多くてなかなか思うようにできないようです。

パートで働く主婦の人の中にも反対の人が

ある主婦の人は、会社員の夫と2人の子どもと暮らしています。国民年金の第3号被保険者に該当します。

週4日、1日5時間で働いています。週20時間となります。この主婦は、夫の扶養家族になっています。だから、多く働いても手取りは同じと言います。

厚生年金に加入すると、厚生年金保険料が月に8000円と健康保険料が月に3000円多く必要になります。すると、今までよりも月に11時間以上多く働かないと損になるからです。

この主婦は、仕事をしながら趣味も楽しみたいので、パートの仕事がちょうど良いと言います。

3号問題

国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)を第3号被保険者と言います。

年金保険料は、配偶者が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担するため、個別に納める必要はありません。第3号被保険者に該当する場合は、事業主に届け出る必要があります。

このように、年金保険料を払っていなくても、年金がもらえるのです。不公平感があると言えます。この年金は、独身の人や厚生年金掛け金を払っている人が支えていることになるのです。

最近は、離婚率も高く、人生どうなるか先のことがわかりません。子どもは育ち、夫の仕事や健康がこの先ずっと安泰とは言い切れません。自分の年金は自分で守ろうという意思も必要なようです。

そして、現行の「年収が130万円未満の人」という条件の年収も、いずれ下げられることになりそうです。

Q&A

夫と離婚したら年金はどうなる?
平成20年4月から、3号被保険者の人が離婚した場合には、夫の厚生年金を分割することになりました。58歳で離婚したピアノ講師の女性は、現在60歳ですが、月9万円のピアノ講師代と国民年金の前倒しの月3万円の合計12万円で暮らしています。
24歳で結婚し58歳で離婚するまで、ずっと3号被保険者でした。厚生年金も60歳から月3万円もらえると思っていたのですが、厚生年金に1年以上加入していなかったために、65歳からしかもらえないそうです。
お得な制度は?
加給年金というのがあります。夫より若い妻で、歳の差があるほどお得になるようです。夫が65歳で妻が55歳の場合には、妻が65歳になるまで、年に39万4500円の加給年金が毎年もらえるのです。この場合の試算は、夫が厚生年金に20年以上加入し、妻が厚生年金に加入20年未満で、夫の年収が850万円未満という条件の場合となります。
夫が亡くなった場合?
国民年金で、未納期間がない場合です。子どもが18歳未満だと、遺族基礎年金が年額101万5900円もらえます。寡婦年金は妻が65歳未満の時にもらえます。10年以上の保険料の支払いが条件です。夫の基礎年金の3/4が60~65歳の間でもらえます。死亡一時金は、加入期間にもよりますが、12~32万円のようです。
いつから年金を受け取るのがお得か?
年金を前倒しして受け取ると減らされ、減らされたままずっとその額で生涯受け取ることになります。後ろへずらして受け取ると年金は増えて、ずっと増えたまま生涯受け取ることができます。平均寿命で亡くなったら、とんとんになるようです。長生きの家系なら、後ろだおしにチャレンジしてもよいかも、しかし、責任は負えません。

日本では、かつてない勢いで、少子高齢化が進んでいます。痛み分け、支え合いが必要です。若い人の年金掛け金が、そのまま高齢者の暮らしを支えるのです。

若い人も、「将来年金がもらえるかどうか分らないからかけない」、と言っても他に頼るものがあるのですか?

とりあえず、国が関与している何よりも手堅い保険だと思って、国民年金保険料は忘れずに支払われることをお勧めします。

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Author:Tomoko Ishikawa Valid HTML5 Valid CSS

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更新日:2020/03/15