放射能の海の汚染

2012年1月15日、「NHKスペシャル 知られざる放射能汚染 海からの緊急報告」を見ました。放送によると、東京湾の海底の放射能汚染が進行しているようです。

今後、魚介類などの安全はどうなるのでしょうか。

魚介類は、野菜・果物に比べたくさんの放射性物質を含む

福島県楽天 が2011年12月28日に発表した水産物の検査結果によると、暫定基準値(1キロあたり500ベクレル)超えは3品目で、いわき市産のマコガレイ1380ベクレル/kg、いわき市産のアイナメ1220ベクレル/kg、いわき市産のコモンカスベ520ベクレル/kgという結果でした。(放射性セシウム134/137合計)

野菜や果物には少なくて、イチゴが8.3より下、ニラが13より下、シュンギクが11より下、ホウレンソウが12より下、ナズナが17より下、ナバナが11より下となっています。(放射性セシウム134または137の多い方を記しているので、合計はこの数値の倍よりも低くなります)

いわき市久之浜漁港からの調査

2011年11月下旬、東京海洋大学は、いわき市久之浜漁港を訪れました。いわき市久之浜は福島第一原発から20kmの圏内にあり立入禁止の場所でしたが、許可を得て海中の魚や土などの実態調査を行いました。

地元の漁師の人たちも、「今調べなければ分からなくなる」という思いで参加しました。

港を出て1時間で、福島第一原発が見えました。原子炉建屋のコンクリートが壊れています。その辺りでは、高濃度の汚染水がありました。10京ベクレル超というもののようです。

原発事故後の原子力安全委員会?の発表では、潮流があるので、相当程度薄まると考えられるという見解でしたが。

20km圏内の海底の土の汚染

海面近くは0.06マイクロシーベルトで、水深13mでは0.14マイクロシーベルトで泥の粒子が動く度にその数値は上がりました。

海底の土は、4520ベクレル/kgで、約15000倍の濃さとなっていました。20km圏内の32ヶ所で海底の土を採取しました。2000ベクレル(以下/kgを省略)くらいの場所も多々ありました。

20km圏内の魚の汚染

20km圏内の南東に魚の網を入れました。豊かな海でたくさんの魚が取れました。

メバルが2300ベクレル、アイナメが1400ベクレル、コモンカスベが1700ベクレルでした。暫定を上回るセシウムの量でした。

この辺りは、海の底に住む魚の宝庫で、アイナメやホウボウなどの底魚(そこうお)がよくとれるようです。底魚は、泥の中に住むゴカイを食べます。そのゴカイは海底の泥を食べています。

そこで、魚の汚染がどう進んでいるか、検証したようです。泥は304ベクレル、泥を食べるゴカイは130ベクレル、ゴカイを食べるナメタガレイは316ベクレルだったそうです。

調査に参加した漁師さんは

「チェルノブイリでは、2~3年かかったそうです。今回はもっと多くのセシウムが出たので、2年半は調査しないといけないだろう」と、言っていました。

いつまた、前のように漁に出で漁師の生活ができるのか、先の計画が立たない状況は本当に辛いものです。その間に諦める人も多く出るのではと想像します。生活のかかっている仕事が突然無くなるのは、精神的にきついと思いました。

海の汚染は広がっているのか

茨城県の平潟漁港でも、北から来る沿岸流の調査が行われました。銚子までの200kmを調査しました。

いわき沖から調査を始めました。300ベクレル/kgでした。そこから南へ調査して行き、原発から80kmの海底で岩場の固い場所では28ベクレルから38ベクレルの数値が出ました。

原発から120kmのひたちなか市沖で、泥の堆積物がある場所では380ベクレルでした。千葉銚子沖で原発から180kmの地点では、10月に38ベクレル、12月に112ベクレルという数値が出ました。

この調査で、局所的に堆積物が集まる所があり、海流によってその場所がかわることもある、ということが分かりました。海の汚染地図は、常に書きなおす必要があるということです。

湖や沼の汚染はどうか

赤城大沼(あかぎおおぬま)は、群馬県前橋市富士見町赤城山にあるカルデラ湖で標高1,345mの赤城山頂にあります。面積は88ヘクタール、深さは最も深いところで16.5メートルあるそうです。

水の排出は1河川のみだそうです。ワカサギが640ベクレル/kgのセシウムを含んでいました。ウグイは659ベクレル、イワナが692ベクレルだったようです。

2011年12月に詳しい調査がされました。餌となるプランクトンは数週間しか生きません。が、296ベクレルありました。海底の泥は深さ20cmの所で、950ベクレル/kgありました。海底に大量のセシウムがあることが分かりました。

ウクナイナのチェルノブイリの事故は1986年に起きましたが、25年後の今も調査は続いています。

チェルノブイリの湖での汚染は

2012年1月26日のNHKの番組「ZERO」で紹介していました。

チェルノブイリ事故で放射能汚染を受けた湖では、魚を取って毎週調査をしています。魚のセシウムは、5年後に100ベクレルにまで下がりましたが、その後の20年ではゆっくりとしかセシウムは減って行かないそうです。

ヨーロッパでの魚の汚染を調べるために北欧を中心に11ヶ国の沼などで調査したようです。その結果、プランクトンを食べる魚の汚染は事故後すぐに汚染のピークを迎えましたが、魚食性の魚は1年後に汚染のピークを迎え、その後もゆっくりとしか減っていきませんでした。プランクトン食性の魚と魚食性の魚との汚染のピークは、8ヶ月違うようです。

魚の種類によっても、汚染のピークが違うので、それぞれの魚について詳しく調べる必要があるそうです。

東京湾の汚染はどうか

2011年8月、近畿大学の山崎教授が調査を行いました。教授は「世界で初めて、首都圏や大都市が放射能の影響を受けた」と言っていました。

江戸川と荒川の河口が872ベクレル/kgと高かったそうです。市街地に降ったセシウムが川に流れ、ホットスポットを作っていました。

また、江戸川の河口から8kmの上流では、1623ベクレル/kgと高濃度になっていました。これは、塩分が高くなってきた辺りで、海水がセシウムを含んだ土を凝集させ、川底にたまっているからだそうです。この堆積物・ホットスポットの泥は、大雨が降る度に移動していき東京湾へと注ぎます。

この堆積物は、年に5kmほど移動するとみられています。東京湾では、今から2年2ヶ月後に汚染がピークになると言われ、10年以上に渡って汚染が続くとみられています。

放射性物質は、目に見えない、臭わない、五感で感じられません。目に見えない敵と戦わなくてはならないのです。定期的な調査が必要です。

今後、堆積物を調べただけで、魚の汚染が推定できるようにすることも必要だと、言われます。調査を簡易化することで、広い範囲を調べることができます。

日本人は、魚を大切なタンパク源として好んで食べています。魚の安全性を見極めることが大切です。また、これだけの大量の放射能が出たことがありませんから、調査にも予算をつけて今しかできないことも明らかにしてもらいたいものです。そして、今後も20年30年40年後までも継続調査が必要のようです。

安心して魚が食べられるように、政府にはきちんと調査結果を公表してもらいたいものです。どんな魚をどのように食べたらよいかなどの、分かりやすい指標も出してもらいたい。

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Author:Tomoko Ishikawa Valid HTML5 Valid CSS

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更新日:2020/03/15