レアアース2(日本の海底にある資源)

調査によって、日本にも海底にレアアースがたくさんあることがわかりました。今までは中国に依存して、安くレアアースを手に入れていました。が、中国からスムーズに安く手に入ることが困難となり、日本自前のレアアースを獲得するために調査が始まりました。

レアアースを使って工業製品を作っている企業は、少ないレアアースで製品を作る工夫などもしています。

日本自前のレアアースを使ってすばらしい製品ができる日を心待ちにしています。

海底に眠るレアアース

海洋研究開発機構の深海調査研究船「かいれい」は、出港から4日目に南鳥島に着きました。水深5000mを超えた海底へ15mのパイプを突き刺して泥を回収します。パイプが海底に着くまで3時間はかかります。

泥の色は、最初は茶色でした。レアアースの含有量が多くなるほど、泥の色は黒くなります。ついに、7日目に真っ黒な泥を回収することができました。

東京大学に持ち帰り分析したら、泥に含まれているレアアースの濃度は6000ppmに達していたそうです。加藤泰浩教授は、今回のレアアース濃度は従来の約4倍の濃度で、ジスプロシウムは中国の鉱石の20倍、テルビウムは16倍、ユウロピウムは35倍含まれていたと、言われました。

南鳥島沖の海底には、太平洋東部の中央海嶺から数千万年かけてレアアースが運ばれてきます。中央海嶺の海底には熱水が噴き出していて、海水のレアアースが熱水の物質に吸着して海底に堆積し泥となるそうです。レアアースを含んだ泥はプレートの運動によって年間数センチずつ日本列島へ向かっていくと言います。

南鳥島の周辺には、レアアースが無尽蔵にあると推定されています。このレアアースを利用できるようにするには、水深5000m超の海底から泥をスムーズに掘り上げることが必要です。4000mよりも浅い海底では、微生物の死骸などで濃いレアアースを採取できません。

フランスのテクニップ社では、特殊な機械で海底を掘削し泥を吸い上げることを検討しているそうです。この計画には特殊なパイプが必要で、すでに水深3000メートルの海底から石油やガスを吸い上げることに成功しています。特殊な吸い上げ用パイプを作り上げています。

海底のレアアースの特徴

大阪大学の足立吟也さんが今回の調査データで注目する点は、問題となる放射性のトリウムがないと思われることだそうです。レアアースを含む泥にトリウム楽天 が含まれていると、その処理が難しくなるからです。

技術的には、4000mを超える深い所でも大丈夫ということです。後は費用としては、船やパイプなどで700億円、操業費用として年間400億円は掛りそうなことです。

困難な海底の資源を引き上げてでも使おうという熱意が一番大事だと言われます。楽ではないが不可能ではないと。

今までは、安価な中国のレアアースを使ってハイテク製品を作り利益を上げてきました。余所の国の資源を使って我が家のものとして使ってきました。海底のレアアースを使えるようになると、自前の資源を持つことができます。

アメリカはハワイ沖で、フランスはタヒチ沖でレアアース資源の開発を目指しています。

脱中国への格闘

モンゴルのレアアース
レアアースの中国依存を減らすため、茨城県つくば市の産業技術総合研究所は新たな調達先を求めて世界20カ所以上で現地調査を行ないました。モンゴルで採掘した鉱石は硬く効率よくジスプロシウムを取り出す方法を模索していますが、中国産に比べて生産コストがかかります。
研磨剤のセリウムを再利用
千葉県山武にあるレンズ研磨工場では研磨剤にセリウムを使用しています。セリウムの生産は中国がほとんどを占めます。2010年7月に中国による輸出枠の大幅削減を発表などで価格が上昇し、1年間で価格は17倍になりました。価格高騰により、工場ではセリウムの再利用(研磨剤を濾しとって再利用)を余儀なくされています。
省レアアース
岐阜県中津川の研究所では省レアアースを目指す取り組みが進んでいます。佐川眞人さんはレアアースを使った磁石を開発しました。この磁石は従来の10倍の磁力があります。材料にはジスプロシウムが使われていますが、ジスプロシウムを減らすと材料が発火するので工夫しました。全ての工程を真空状態で作業し、ジスプロシウムの量を半分に減らすことができました。
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Author:Tomoko Ishikawa Valid HTML5 Valid CSS

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更新日:2018/06/07