関取の給料
相撲(すもう)の八百長(やおちょう)問題で、ふだん知らなかった関取(せきとり)や力士(りきし)の月給などが明らかになりました。十両までは、関取として高待遇のようです。十両を落ちて幕下になると月給はなく本場所手当だけのようです。あまりにも待遇が違いすぎるのに驚きました。ここにも八百長の遠因がありそうです。
八百長問題は、世間の人の意見も様々です。絶対に八百長はダメだと言う人、スポーツではなく奉納試合だからそこまで厳しくする必要はないという人もいます。どのように考えるか、ここからはっきりとした基準を設けて、再スタートをして欲しいと思います。2011年2月
関取などの月給
関取楽天 とは、横綱、大関、関脇、小結、幕内、十両の位の人たちをさします。十両以上の力士には毎月月給が支払われます。更にボーナスも年間に月額給与2ヶ月分が支給されます。
- 横綱の月給は、282万円、本場所手当はありません。
- 大関の月給は、234万7000円、本場所手当はありません。
- 関脇・小結の月給は、169万3000円、本場所手当はありません。
- 幕内の月給は、130万9000円、本場所手当はありません。
- 十両の月給は、103万6000円、本場所手当はありません。
懸賞金は1本当たり6万円で、力士には3万円が収入としてもらえます。その他各種手当てがあるので十両以上では、年収は1200万円以上になると言われています。
横綱などは後援会も大きくCM出演料も入ると、年収1億円以上となり、横綱・朝青龍の年収は約1億8000万円もあったようです。
昇進は100万円、引退は1500万円、大関の引退は500万円を超えるようです。横綱の年収は5000万円とも言われています。
幕下以下の力士養成員の人の手当は以下の通りです。
- 幕下は月給はなく、本場所手当は、15万円です。
- 三段目は月給はなく、本場所手当は、10万円です。
- 序二段は月給はなく、本場所手当は、8万円です。
- 序の口以下は月給はなく、本場所手当は、7万円です。
食事や住まいは部屋で賄ってもらえるし、先輩力士から小遣いを貰えるしで、生活には困らないようです。
月給以外の収入は?
月給以外には、ボーナスとして月給の2ヶ月分があります。そして、相撲観戦時によく見る懸賞金、力士褒賞金、出張手当、本場所特別手当、力士補助金、CM出演料などがあります。
優勝賞金の額は?
優勝賞金・・・幕内優勝では、1000万円の上に自治体や企業から金一封が貰えます。品物としては、お肉やお酒を1年分などあるようです。
三賞(殊勲賞、敢闘賞、技能賞)受賞・・・200万円
十両優勝・・・200万円、幕下優勝・・・50万円、三段目優勝・・・30万円、序二段優勝・・・20万円、序の口優勝・・・10万円となっています。
懸賞金とは
土俵の上を会社名が入った幟を持って回っているあの幟です。1本62000円会社が支払います。そして、貰った方のその配分ですが、相撲協会の事務経費として5300円、力士の取り分として協会が管理し、退職金などになるお金が26700円、力士の手取りが30000円となります。
なぜ協会が力士の取り分の一部を預かるようになったのか、それは、過去に税金を払えなくなった力士が続出したからです。
2017年 九州場所の懸賞金 1位~10位
1位・・・白鵬・・・・・304本・賞金額・1723.7万円
2位・・・稀勢の里・・77本・・・・・・・・・436.6万円
3位・・・琴奨菊・・・・76本・・・・・・・・・430.9万円
4位・・・豪栄道・・・・75本・・・・・・・・・425.2万円
5位・・・御嶽海・・・・71本・・・・・・・・・402.6万円
6位・・・北勝富士・・70本・・・・・・・・・396.9万円
7位・・・貴景勝・・・・65本・・・・・・・・・368.6万円
8位・・・嘉風・・・・・・63本・・・・・・・・・357.2万円
8位・・・遠藤・・・・・・63本・・・・・・・・・357.2万円
10位・・玉鷲・・・・・・60本・・・・・・・・・340.2万円
2018年の秋場所は、2160本という過去最高の懸賞金が出ました。
その時の1位は、白鵬で410本 2324.7万円、2位は稀勢の里で297本1684.0万円、3位は鶴竜で190本1077.3万円だったそうです。
力士褒賞金とは?
力士褒賞金はお給金制度と言われ、昇進、勝ち越し、金星などが、お給金として引退まで上乗せされます。
昇進は、十両で40円、幕内で60円、大関で100円、横綱で150円となります。
その他には、1勝勝ち越しで0.5円、金星10円、優勝30円、全勝優勝50円となります。
力士褒賞金の計算方法は、お給金4000となります。白鳳の場合は2018年の秋場所終了時に1990.5円、稀勢の里は309.5円だそうです。(日刊スポーツの記事によると)
そうなると、白鳳の1場所辺りの力士褒賞金は、約800万円となります。それは、年6回の支払いとなります。力士褒賞金は、現金支給で直接手渡しだそうです。また、休場しても全額支給されます。
タニマチとは?
タニマチとは、相撲界の隠語(特定の社会・集団だけで通用する言葉)でご贔屓様、後援会の方、無償スポンサーのことです。
タニマチは、化粧まわしを作ってくれたり、ちゃんこ鍋用のお肉、また力士の着物やアクセサリーなどを贈ってくださいます。ありがたい存在ですね。それだけ、力士の稽古は辛く厳しいということでしょう。そして、相撲は、見る人を感動させ、励ましてくれるのから尊いのです。
養成経費とは
養成経費としては、以下のものがあります。
- 養成員養成費(幕下以下の力士に1人当たり)・・・7万円
- 稽古場経費(関取も含めた力士1人当たり)・・・5万5000円
- 稽古場補助費・・・30万円
- 相撲部屋維持費(関取も含めた力士1人当たり)・・・11万5000円
十両から幕下へ「天国と地獄」の待遇?
- 給料
- 上記したように、十両は月給103万6000円、幕下は月給はなく、本場所手当は、15万円です。
- マゲ
- 十両の頭の大イチョウが普通のマゲになります。
- 足元
- 足袋に雪駄の足元は、序二段以下になると裸足と下駄になります。
- 付け人
- 今までいた付け人がいなくなり、今まで自分が付いていた力士が先に昇進すれば、逆に自分が付け人となることもあるそうです。午前6時に起床、朝稽古を終えると、まわし姿のまま関取の背中を流します。関取の食事中は、ご飯やおかずをよそいます。2時間の昼寝以外は、洗濯、掃除、夕食の準備に追い立てられ、自由な時間は就寝までの数時間に限られているようです。
- プライド
- 「関取経験者」というプライドが傷つけられたことが最も辛かったと、十両から幕下に落ちた力士が、その時のことを語っています。
関取として派手に使わないと出世しない?
元力士・30歳代は、十両に上がり一気にたくさんの月給を手にして、「どうやって使えばいいのか」と戸惑ったそうです。
付き人らの分も含めて、一晩で10万円以上使うことも珍しくなくなりました。ギャンブルにのめり込み、1週間で50万円も負けたそうです。数年後には、荒れた私生活などから、土俵を去りました。
元十両力士・50歳代は、「パーッと派手に使わないと、関取として出世しない」と言われて、銀座のクラブを飲み歩き、一晩300万円もはたいたことがあるそうです。
八百長メールに名前が出た14人の大部分は十両だそうです。元力士は「幕下に落ちれば再び戻れる保証はない。それなら星を買ってでも残りたいという気持ちはわかる」と、言っています。
八百長はなぜ起きたか
八百長は、武士の情けと言う人もいます。スポーツの世界に八百長はもっての外と言う人もいます。この際、いろんな思いを出し合って、議論した上での再出発を期待しています。
- 個人の問題
- プロ野球の選手にも最高年俸と最低年俸に開きがあります。史上最年少で年俸5億円(推定)のダルビッシュ有投手、育成選手の最低年俸は240万円だそうです。同輩や後輩に出世で抜かれることは、企業でもあることで、それが嫌で不正に走るのは、個人の人間性の問題だ、という親方もいます。
- 相撲協会
- ある親方は、「協会が今まで見てみぬふりをしてきた結果ではないのか」と言っています。平成の大横綱・貴乃花が2003年1月の引退会見で、15年間の中で印象に残る取り組みとして、横綱昇進を決めた一番と十両昇進の一番をあげました。それほど思い入れの深い十両の番付を不正の温床に変えたのは、個人だけではないと読売新聞は記しています。
横綱としての自覚と責任
横綱になると、成績が悪ければ引退しかありません。そして、相撲界を引っ張っていかないといけません。横綱にふさわしい勝負の仕方もあります。そんなこんなで、精神的な重圧がかかってきます。若乃花は「横綱になってよかったことは?」と聞かれて、「親方と女将さんがよろこんでくれたこと」と言いました。一生懸命応援してくれた両親のことが一番気になっていたのでしょう。そして、何をやっても横綱がやったと言われる重圧も語っていました。
横綱としての品格と力量
横綱になると、「痛い」「できない」とは言えないと言います。普段の生活でも人のお手本になることを求められます。礼儀作法、人間性までも見られているのです。日本の国技だから当然といえば当然なのでしょうね。
朝青龍が、NHKアナウンサーの刈谷富士夫さんに「品格」とは何か尋ねたことがあるそうです。刈谷さんは答えました。・人よりも自分に厳しいこと・人よりも努力すること・人に対して優しくあること、そういう日々を送ることで身につくものが品格。人によっては、これを「抑制の精神」と呼んでいます。そして、横綱には、品格と同時に試合に勝つ力量が必要です。
横綱としての待遇
横綱の給料は上記の通りです。その他の待遇を記しておきます。付け人は10人ぐらい、若乃花の場合は15人いたそうです。綱締めには8人が必要だと言っていました。(大関には3人の付け人がいます)飛行機はファーストクラス、新幹線はグリーン車になります。まあ、体格から言ってもそうなるでしょうけれど。
横綱は負け越しても、休場しても地位は下がらないそうです。しかし、横綱としての格式が守れなくなったら引退となるでしょう。
角界の暴力事件
相撲界では、過去にも暴力事件が起きて、その体質が社会問題となっています。(産経ニュース等より)
2007年6月、時津風部屋で力士が暴行死
時津風部屋の力士、斎藤俊さん、当時17歳が当時の時津風親方(元小結、双津竜)から、ビール瓶で殴られ、兄弟子3人からも暴行を受けました。翌日のぶつかり稽古後に多発性外傷性ショックのために亡くなりました。元親方は実刑判決、兄弟子3人は執行猶予つきの有罪判決を受けました。
2010年横綱朝青龍、暴行事件
横綱朝青龍は、1月の初場所中に酔って知人男性に暴力をふるったとされる問題の責任を取って、現役を引退しました。
2015年宮城野部屋、熊ケ谷親方の暴行事件
熊ケ谷親方がマネージャーの男性に傷害を負わせたとして、起訴されて、日本相撲協会から解雇処分を受けました。
2017年横綱日馬富士、暴行事件
10月下旬、秋巡業中の鳥取市内の酒席で、日馬富士は同じモンゴル出身の平幕・貴ノ岩の頭部を殴り怪我を負わせました。横綱白鳳、横綱鶴竜、関脇照ノ富士も同席していたそうです。いづれもモンゴル出身です。鳥取県警は、年内にも傷害容疑で、日馬富士関を書類送検するようです。