ロングイヤービエン(ノルウェー領)
2012年2月2日の「地球イチバン」では、「北の町 ノルウェー・ロングイヤービエン」を放送していました。2000人が暮らすこの町は、平均気温が冬は-30℃、夏は7℃という信じられない寒さです。
また、世界の44ヶ国から働きにきているという、地球のオアシスのような一面もありました。日本人はいませんでしたが、世界が凝縮した町のようでした。俳優の大高洋夫さんが訪れていました。
ロングイヤービエンは、どんな町
世界最北の人類居住地、北極圏のスバールバル諸島にある北緯78度の町、スバールバルの首都がロングイヤービエンです。ロングイヤービエンは、1920年にノルウェー領となっていますが、フリーゾーンという珍しい場所なのです。
ノルウェー楽天 を旅された方のブログに書いてありましたが、「ガイドブックに「Sky High Price」と書いてあり、何がすごいって、道端のソフトクリームが600円、軽食屋のピザが4000円、ビールが400mlの小さいグラス1杯1500円」という物価高のようです。
この番組では、ミニトマト1パックが800円、レタス1個が600円でした。毎日、本土から空輸されるので、新鮮な野菜や果物、肉や魚があるようです。が、お高いですよね。
ロングイヤービエンでは消費税0%、所得税も10%未満です。一方で、福祉サービスはほとんどなく、働くための町となっています。
ロングイヤービエンの自然とは
北極グマが3000頭いるそうです。人口が2000人の町に、クマの方が多いですね。白夜は、4月~8月まで、極夜は、11月~2月までで一日中真っ暗なまま4ヶ月過ごすそうです。
ロングイヤービエンは、-20℃~-30℃の世界で、海は流氷に覆われていて、陸地との境がわからないそうです。大高さんは、鼻がもげそう、目が開けられないと言っていました。
極夜の時期に訪れたので、「太陽祭」に参加していました。太陽に挨拶をするのだそうです。「太陽よ、戻ってきて」子どもたちが集まって太陽が出るのを待っていました。が、残念ながらこの日は雲に隠れて出ませんでした。
極夜が続くと、体内時計が狂うので、「目覚ましライト」が使われます。職場の太陽とも呼ばれ、コンビニの6倍もの明るさだそうです。
オーロラが美しく見えます。町があるスピッツベルゲン島では、どこにいてもオーロラが見られるそうです。神秘的でしょうね。この目で一度でいいからオーロラを見たいと言う人は、多いと思います。
ロングイヤービエンには、植物の生物多様性を守るための「種子バンク」があります。気候変動や戦争などで食料となる植物が絶滅の危機に瀕したときのためにと作られました。世界中から種が集められ、永久凍土の中に約1億個の種が貯蔵されています。
ロングイヤービエンの生活
スノーモービルが、ロングイヤービエンの生活では便利だそうです。北極グマの対策のために、ライフル銃が標準装備としてついています。北極グマを脅すためのものです。滅多な時でないと撃ち殺すことはありません。
取材に同行するガイドさんが、もしもの場合には打つそうです。
洞窟の中には、氷河があります。弾くと美しい音色がしました。
メインストリートには、スーパーマーケットがありました。野菜や果物が、ノルウェーから毎日空輸されてきます。物価が高いのは、本土ノルウェーも同じようです。
パーティにおよばれ
大高さんは、スーパーマーケットの店長さんのお宅のパーティに招待されました。店長さんは、トナカイのクリームシチューを作っていました。
フィリピン出身の女性は、チキンジョイ(フライドチキン)を、ある人はロスティ(スイス風ジャガイモのお好み焼き)を、パンシット(海鮮焼きそば)なども皆それぞれに持ち寄って、パーティーを盛り上げます。
フクライナ出身の女性、イラン出身の女性とみんなで家族のようです。
なぜ、いろんな国の人が来ているのでしょうか。ここは、どんな国の人でも、何の制限もなく働けるそうです。
フィリピン出身のレルマさんは、「夫と出会ったからよ。恋に落ちたの」と言います。夫は、ノルウェーの人で、配管工事の会社に勤めています。レルマさんが、仕事がしたいと言ったことから、この土地に来ました。そして、3人の男の子がいます。夫との出会いは、夫が観光でフィリピンに来た時でした。
誰でもフリーゾーンのこの町で暮らすことができます。
ロングイヤービエンでの仕事
この島の主要産業は石炭採掘で、産出量は年間300万トンです。
ロングイヤービエンでは、100年前に氷の下から石炭が見つかりました。ここの石炭は質が大変良く、カロリーが高いそうです。そこで、周りの国々がやって来ました。
そして、ある妥協が生まれました。1920年、ノルウェー領にはするが、フリーゾーンとすることになりました。スバールバル条約に加盟している国の国民であれば、居住や就労が自由だそうです。ここに来るには、ノルウェー本土の町トルムソから「出国」してからじゃないと入れないそうです。
スベア炭鉱には、いろんな国から働きに来ています。ミランさんは、10年働いています。クロアチアから来ました。ミランさんは、職場の太陽と呼ばれみんなから信頼されています。300人の労働者が働いており、コンテナが休憩所となっています。
ロングイヤービエンに来た理由は
クロアチアから来たミランさんは、故郷で戦争が起きて、全てを失ってしまいました。そこで、故郷を捨ててここにやって来ました。
20年前にクロアチアがセルビアから独立を求めて、セルビアと戦争になりました。クロアチアに住んでいたセルビア人のミランさんは、命を狙われました。隣人同士が殺し合う状況になっていました。
ミランさんは、ユーゴスラビア、スロベニアを経て、10年前にロングイヤービエンにたどり着きました。
ミランさんの二人の息子は、ノルウェー本土の大学へ行き、そのままノルウェーで暮らしたいと思っています。3年働けばノルウェーの国籍が取れるのです。
ミランさんは、いつか故郷に帰りたいと望んでいますが、子どもたちは、ノルウェーを選ぶようです。
ここロングイヤービエンは、様々な国から人々が集っていますが、一つの家族のような町と言われます。