ダイヤモンドの街・アントワープ

NHKの「地球イチバン」という番組で、ベルギーのアントワープを女優のとよた真帆さんが訪ねていました。

ベルギーのアントワープは、世界中のダイヤの8割が集まってくる街です。このダイヤの街は、警備も地球イチバンです。普段は見られない極秘の世界に、女優・とよた真帆が潜入し見せてくれました。2011.11

ベルギーのアントワープの街

アントワープ中央駅のすぐそばに位置する約一平方Kmの地区には、ダイヤモンド関連の会社が約1800社あります。ここから世界に、原石の80%、カットされたダイヤの50%が、出ていきます。年間の取引額は、約270億ユーロ(3兆円以上)だそうです。

300mほどの通りに、ダイヤ取引専門の銀行、輸送会社、保険会社、器具販売店、鑑定機関、宝石の研究所などが軒を並べています。

そして、このアントワープの街には世界に29か所ある取引所のうちの4つの取引所があります。そのうち、原石専門の取引所は世界でただ一つ、このアントワープだけです。

高価なダイヤモンドを扱う街なので、パトカーが護衛していたり、マシンガンを持った警備員がいたり、撮影を禁止したりします。どのビルの入り口にも3~4台の監視カメラが設置され24時間稼働していて、ダイヤモンド街には死角がないそうです。

ダイヤモンド取引所

ダイヤモンド楽天 取引所に入る時には、パスポートを渡します。盗難を防ぐためです。例え盗んだとしても、パスポートが無ければ、国外脱出は難しいからです。

原石の80%がアントワープの街に集められます。

10年前まではユダヤ系の人たちが50%をしめていたアントワープのダイヤモンド業界ですが、現在、売り上げの60%をインド系の人たちが占めているそうです。

ユダヤ系の人達とダイヤモンド

16世紀後半からユダヤ人がこの街に集まって来ました。

ナチスに追われてきた人もいます。研磨工場で活路を見出しました。取引業者として活躍している人もいます。ダイヤモンドの取引には、信頼が一番です。父から子へとその信頼は受け継がれています。

ダイヤモンドの原石を売りたい人は、仲介業者に売値を伝えダイヤモンドを渡します。仲介業者は、ダイヤモンドの買取業者に出向きダイヤモンドを見せて売値を伝えます。

買取業者は、この値段で買い取るという値段を出します。その際、ダイヤモンドを封筒に入れ封をして、封筒に買値を書き、仲介業者に返します。封をするのは、仲介業者が別の買取業者へ行くことを阻止するためです。

仲介業者は、買値を売主に伝えるために帰ります。そして、売主が買値に満足すれば、また、買取業者の所へ戻り契約は成立します。

この時に、買取業者と仲介業者は、「マザール」と言って握手をします。「マザール」は、ダイヤモンド界の常識だそうです。「マザール」には、チャンス、神のご加護という意味があります。

ダイヤモンドが命を救った

ナチスの迫害にあい、ロシアから逃れてきた一家があります。ダイヤモンドをワイロにして、強制収容所へ送られることから逃れたそうです。

ダイヤモンドは、「自由」と交換できる大切な物という意識があるようです。服や髪の毛にダイヤモンドを隠して逃げていたそうです。

ダイヤモンドの研磨・加工

アントワープの街では、ダイヤモンドを売っている店がたくさんあります。売れ筋のダイヤモンドは、8750ユーロ(約90万円)の物だそうです。

原石の80%がアントワープの街に集められ、研磨・加工業者が、美しい光を放つ宝石・ダイヤモンドに変身させます。

珍しいイエロー・ダイヤモンドの原石53カラットの物が、約8000万円するそうです。これを、研磨して宝石にすると1億5000万円の値が付けられるそうです。

原石をコンピューターが読み取り、一番良い状態で削られるようにシュミレーションします。そして、少しずつ研磨していきます。

レコード版が回転するような回転盤の上に、オリーブオイルとダイヤの粉を混ぜた物を伸ばし、それで削っていくそうです。

大変高価なダイヤモンドを加工しているので、ダイヤモンドの加工所は、工房の場所も内部もわからないように取材していました。

ダイヤモンドのカット法

ダイヤモンドは、なぜ美しく輝くのか、それは、カットされているからです。上部から進入した光が全て内部で全反射して上部から放たれるように設計されています。

ダイヤモンドの輝きはダイヤモンドのカット次第なのです。「センティナリー」というダイヤモンドは、273カラットで、247面カットを施されています。このカットは、15人の職人が話し合ってすすめ、3年もかかったそうです。

ベテランの研磨職人の人は、「ダイヤモンドが、喜び、歌うようにカットしていく」と言っていました。

ブリリアントカット

104カラット、3億円のダイヤモンドは、ブリリアントカットを施してあります。1700年代には、ベニスのガラス職人が58の面をつけた、「ブリリアント・カット」の原型をつくったと伝えられています。

現代の58面のブリリアントカットは、マーセル・トルコウスキーという数学者が考えだしました。

真上から見ると、中央から外に8つの矢が浮かびます。ひっくり返して裏から見ると、8つの細長いハートが見えます。これが見えると完璧なカットだそうです。

研磨職人・ガビー・トルコウスキーさんの夢

72歳のガビーさんは、ダイヤモンドの研磨(カット法)を絵にして残しています。考案したカットは69種類もあります。頭の中にある理想のダイヤモンドを型にして残そうとしています。

(ガビー・トルコウスキーさんは、トルコウスキー家の6代目で、15歳から研磨の世界へ入りました)

自分ができないなら、息子のジャンポールさんに完成させてもらいたいと望んでいます。

石の美に魅了された、同じ石は2つとないので、その石の持つ美しさを掘り出したいという気持ちのようでした。

ガビー・トルコウスキーさんの代表作は、世界最大の「ゴールデン・ジュビリー」545.67カラット(約109g) 、「センティナリー・ダイヤモンド」273.85カラット(約55g)274面です。

アントワープの鑑定所

アントワープの鑑定所では、120人が一斉に顕微鏡を使って鑑定しているそうです。1日1人が、20?30個を鑑定しするようです。持ち込まれるダイヤには、持ち主の名は書かれず、ナンバーの記されています。公平な鑑定をするためにそのようにしているそうです。

鑑定士は、名刺を持ってはいけないそうです。そして、直接お客様とも合うこともできません。宝石のみの価値を見極め、後の条件には左右されないように、公平を期しています。それが、信頼というものなのでしょうね。

ダイヤモンドの鑑定、4つのCとは

4つのCのチェックの前に、人工か天然かを機械で見分けます。

  1. C「カラット」…重さです。小数点以下5桁のはかりで重さをはかります。1Cは、0.2gです。
  2. C「カラー」…色合いです。厳選されたマスターストーンと比較して、黄色味の度合いにより等級付けされます。目が慣れてしまうと判別が不正確になるので、最大30分で交替しなければなりません。
  3. C「クラリティ」…透明度です。デジタルマイクロスコープを使用します。外側の傷は線で、内側の不純物は赤く見えるようになっています。機械は2エクセレントまでで、トリプルエクセレントからは、鑑定士が10倍のルーペで最終確認します。ルーペで何も見えないルーペ・クリーン(LC)から、裸眼でも傷が見つけられるピケまであります。
  4. C「カット」…研磨状態です。理想的な影を計測してインプットしたコンピュータの数字と比較し、プロポーションをチェックします。ブリリアント・カットに、すべての面があるか、カット面の線がきちんと閉じているか、シンメトリーになっているかなどを検査します。最終的には人間の目だけが頼りだそうです。

ダイヤモンドの産出地

2004年時点の総産出量は15600万カラットでした。国別の生産量(単位カラット)の上位は次の通りです。

  1. ロシア 3560万カラット(22%)
  2. ボツワナ 3110万カラット(20%)
  3. コンゴ民主共和国 2800万カラット(18%)
  4. オーストラリア 2062万カラット(13%)
  5. 南アフリカ共和国 1445万カラット(9%)

ダイヤモンドの母岩であるキンバーライトは古い地質構造の場所にしかなく、地質構造の新しい日本にダイヤモンドは出ないとされてきました。が、近年、1マイクロメートル程度の極めて微小な結晶が、愛媛県四国中央市産出のかんらん岩から発見されたそうです。

ダイヤモンドは1キロ取り出すために5300トンもの自然原料が処理されているそうです。

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更新日:2020/03/15