土つくりなど
野菜の種や野菜の苗を植えようとする前には、土つくりが大切です。作る野菜によって好みの土が違うからです。酸性土壌に強い野菜や弱い野菜があるようです。
新鮮でいきいきした野菜を作るためには、土つくりが要です。どんなことに気をつけたらいいのか、野菜作りの初心者として勉強したいと思います。
まずは、除草、草取り
畑の雑草は地上に出ている葉だけではなく、根っこも鎌などを使って取り去ります。前に作っていた作物の残りなども綺麗に取り除きます。
取った雑草などは、乾燥させて焼くか、堆肥にします。
土の中を消毒
同じ科の野菜を作り続けていると、特定の害虫楽天 や病原菌が蓄積するようです。土壌の消毒は、一般的には薬剤が使われます。しかし、家庭菜園などでは、自然を利用した方が良いと思います。
夏には、猛暑の太陽光線で太陽熱消毒を、冬には休閑期に土の天地返しが良いそうです。
土壌酸度と野菜が好きな酸度
日本の土は酸性に偏りがちだそうです。火山灰を含む土壌が広く分布しているためと、雨に含まれる炭酸によって土中の石灰が流れてしまうためだそうです。
石灰などを土に混ぜて、酸性土壌を改良します。
石灰(いしばい)と苦土石灰(くどせっかい)
- 石灰
- 酸性土壌の中和には昔からよく消石灰が使われたようです。消石灰はアルカリ性なので土壌の酸性度を中和する働きがありますが、中和の段階でガスを発生しますから、播種・定植前にはその中和が完了していなければなりません。消石灰は少なくとも種を播く、2週間前に播いておく必要があります。
- 苦土石灰
- 苦土(Mg・マグネシウム)と石灰(Ca・カルシウム)の両方を含む肥料です。酸度の調整に役立つことから、肥料としてよりも酸度調整剤として使われることのほうが多くなっています。また、マグネシウム、カルシウムともに肥料の五要素に含まれているので、肥料としても十分役に立ちます。
- 有機石灰
- 有機石灰は、貝殻化石やカキ殻など有機質の石灰です。アルカリ成分は約40%で緩効性、土にやさしい石灰です。
主な野菜の土の適性酸度
- 酸性に強い野菜(PH5.0~5.5)
- ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ニンニク、ラッキョウ、スイカなど
- 酸性にやや強い野菜(PH5.5~6.0)
- イチゴ、カボチャ、トウモロコシ、トマト、キュウリ、ナス、ニンジン、カブ、ダイコン、コマツナなど
- 酸性にやや弱い野菜(PH6.0~6.5)
- キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ハクサイ、アスパラガス、カラシナ、ニラ、レタス、ピーマンなど
- 酸性に弱い野菜(PH6.0~7.0)
- エンドウ、インゲン、エダマメ、、ソラマメ、ネギ、タマネギ、ホウレンソウなど
種まき・植え付けの前に
- ジャガイモ・サトイモ・サツマイモ・ヤーコンなど
- ジャガイモは、酸性土壌を好むので、石灰はまかなくてよいそうです。
- イチゴ・インゲンマメ・エダマメ・オクラ・シロウリ・ズッキーニ・トウガラシ・アスパラガス・タカナ・カラシナ・カリフラワー・キャベツ・クウシンサイ・コマツナ・シソ・タマネギ・ニラ・ハクサイ・ブロッコリー・ミズナ・ミツバ・ミョウガ・モロヘイヤ・カブ・ショウガ・ダイコン・ニンニク・ラッキョウなど
- 1m2当たり苦土石灰100gを植えつけ2週間前にまき、深さ30cmくらいまでよく耕します。
- スナップエンドウ・ネギ・ホウレンソウ・リーフレタスなど
- 1m2当たり苦土石灰120gを植えつけ2週間前にまき、深さ30cmくらいまでよく耕します。
- カボチャ・キュウリ・スイカ・ソラマメ・トウモロコシ・トマト・ナス・ゴーヤー・ピーマン・チンゲンサイ・ツルムラサキ・ゴボウ・ニンジンなど
- 1m2当たり苦土石灰150gを植えつけ2週間前にまき、深さ30cmくらいまでよく耕します。
- ケール・シュンギクなど
- 1m2当たり苦土石灰200gを植えつけ2週間前にまき、深さ30cmくらいまでよく耕します。
土壌測定器
- PH測定キット
- 土に決められた量の水道水を加えて混ぜ、指定された時間をおいてから、上澄み液を試験管に移します。規定量の試薬を加えてから、栓をしてよく振ります。できた液の色と付属のカラーチャートと照合してPHを決めます。
- 土壌酸度計
- 測定場所の土の表面が乾いていたら、水をまいて20~30分おいておきます。その後、土壌酸度計の先を土の差しこんで測定します。
野菜にとって理想的な土・団粒構造とは
野菜つくりに良い土は、酸素、水分、養分をしっかりと蓄えた土壌です。
土は、固相、液相、気相の三相で構成されていて、この三相のバランスがとれている土が、団粒構造と呼ばれ野菜作りに最適な土と言われています。
団粒構造のできやすい土は、粘土や腐植がある程度多い土です。砂質や粘土質の土は、堆肥や落ち葉などの有機物を土にすき込んでよい土にしていきます。
団粒構造を作るには、冬の間に農地全体を深く掘り起こして寒風に晒します。土が凍ったり、溶けたりするうちに土中深くに酸素が多く取り込まれるそうです。
団粒構造ができると土は、やわらかくなるだけでなく、風雨に強くなり、土壌微生物も種類が増えるので、害虫も減ります。
良い土、悪い土の見分け方
- 良い土
- 畑をよく耕してから、水分を含んだ土を一握りとって固く握りしめます。手のひらにあるその塊を指先で軽く押してみます。土がほろりと崩れるようなら、水はけと水持ちが良いふかふかの土と言えます。野菜作りに最適の土です。
- 悪い土
- 上記の土の塊が指で押しても崩れないなら、水はけの悪い粘土質の土でしょう。また、握ってもかたまらない土は、水はけが良くても乾燥しやすい砂質の土だと分かります。
太陽熱消毒の仕方(土の消毒法)
時期は、7月下旬から8月下旬の暑い時に行います。まず、草取りを済ませます。
1平方メートル当たりに、わらや草を短く切った物をバケツ2杯、石灰窒素200gをばらまきます。土と混ぜ合わせ、深く耕します。
その後、たっぷりと水やりをした後に、透明のポリマルチやビニールシートでおおい、2~3週間そのままにしておきます。そうすると、土の温度が60~70度まで上がり、土中の病害虫が死滅します。シートを外し、土が乾けば使えます。
天地返しの仕方(土の消毒法)
深さ20~30cmの耕土とその下の土とを入れ替えて、土を若返らせる方法が天地返しです。
天地返しは、冬の休閑期に行われます。
耕土と下層土を別の場所におけるようにしておきます。次に農地の端から幅1m、深さ30cmほどの穴を掘って、土を耕土の場所におきます。その穴をさらに30cmほど掘り、今度は下層土の場所におきます。これを繰り返しながら、土を戻す時に、耕土と下層土を入れ替えます。かなりの労力が必要となります。