放射能汚染からの農地再生
NHKの教育テレビで2012年3月10日、地域ミーティング「放射能からの農地再生」という番組をしていました。
東日本大震災の揺れと津波により福島第1原発の事故が起きました。そこから、大量の放射能が漏れでて、農地を汚染してしまいました。
セシウムによる汚染で、この汚染が問題なくなるまでに30年から40年かかります。その間に工夫しだいで、安全な作物が作れ、また、農地再生につながることがわかりました。
福島の農地再生について、分子生物学者・復興サポーターの河田昌東(かわだまさはる)さんのお話を中心にまとめています。
放射能の汚染をしにくい作物、汚染しやすい作物とは
チェルノブイリ事故のあったウクライナでの作物の放射能計測結果だそうです。
ナス科やウリ科の植物は、放射能の汚染しにくい作物と言われました。
- 放射能の汚染をしにくい作物
- トマト、ナス、カボチャ、キュウリ、ピーマンなどです。
- 放射能の汚染をしやすい作物
- キャベツ、大根、ジャガイモ、ほうれん草、人参などです。
しかし、日本の福島のジャガイモ楽天 は放射能汚染していません。土壌の違いによるものと言われます。また、大根、人参にも汚染はありません。
果物では、柿は汚染が高いようです。梨は汚染がありません。柿畑などでは、表土の処理をしたり、下草を取って処理すれば、汚染が下がると言われていました。
ウクライナでは、菜種を植えて農地再生
ウクライナのジトーミル州では、州の半分に値する30万ヘクタールが、事故から26年経っても何も利用されず打ち捨てられているということです。
5年前から、分子生物学者の河田さん達は、菜種を植えてセシウムを吸収させる取り組みを行なってきました。2007年に菜種の種を蒔きました。収穫した菜種からバイオジーゼル燃料を作ります。
この油には、セシウムが入らないことがわかっています。しかし、この取り組みも土壌の再生には、やはり、30年から40年かかるようです。
しかし、放射能の汚染のない作物をつくることはできます。
- 菜種の種子は、500~700ベクレル/kg(セシウム137)でした。菜種を植えることで、土から溶け出したセシウムを葉や茎に吸わせます。種はバイオジーゼル燃料として使い、その他のものは適切な処理を行います。
- 菜種の裏作として、大麦23.4ベクレルや小麦を植えます。これらは、放射能の汚染が少ない作物です。
- また、セシウムが水に溶け出すので、菜種を植えます。
油にはセシウムは入らない
植物体は放射能に汚染しても、種から作る油は放射能の汚染はしないそうです。
菜種油、ひまわり油、エゴマ油などは汚染しません。
油粕、茎、葉は汚染しているので、バイオガス(メタンガス)装置で処理すると良いそうです。排水は、ゼオライトで処理します。そして、低レベル廃棄物として処理します。
除染のためには、汚染しやすい植物を植えて、土からセシウムを取り去ることが必要です。
南相馬市での地域ミーティングで出たこと
- 菜種油を南相馬の特産物として作っていくつもりです。
- 田んぼの水の取り入れ口には、籾殻を詰めた袋を間を開けて4つぐらい置いていました。それも放射能対策です。
- 生産者と消費者がお互いに放射能の対策などを学んで交流を持ち、生産者の努力も伝えてはじめて、消費者の安心をいただくことになると思う。
- まず、汚染レベルの調査が必要です。ここは作っても大丈夫、ここでは、〇〇を作ると危ないとか、植えるものを科学的に秩序だててやることが必要です。(分子生物学者・河田昌東(かわだまさはる)さんのお話)
- どういうメカニズムで汚染されているか国民に知らせることも必要だと思う。
- 「無知の知」という言葉がありますが、どこまで知っていて、何を知らないのか。ここまでわかったことをはっきりとさせ、この先何をしたらいいのか見えてきたので、チェルノブイリよりも先にいけると思いました。(分子生物学者・河田昌東(かわだまさはる)さんのお話)