栽培中の手入れ
野菜を育てるには、まず土づくりをし、その後に種まきや苗を植えます。その後も栽培中の管理が必要です。
栽培中の手入れ・管理はどのようにすればよいのでしょうか。その栽培中の手入れ・管理について書いていきたいと思います。
水やりのコツや注意点
- 種まきの後には、水はたっぷりとやります。苗を植えつける時には、先に畝に水をまいて根土の水分と土をなじませておきます。
- 生育中は、自然にまかせて環境に慣らすようにします。水やりしすぎると、根が発達しなかったり、根腐れを起こしたりします。
- 1週間以上雨が降らない時、梅雨明けの高温乾燥期、土がからからになっている時に水やりをします。
- 夏場は朝か夕方に、冬場は暖かい日の午前中に水やりをします。
- 1回の水やりで、土の下5~10cmの深さまで水がしみ込むようにたっぷりと水をやります。硬い土は、根をきらないように軽く耕してから水をやります。
- 水やりは、葉や茎にかけないように、根元にしみ込ませるようにやります。土を削らないように、水圧ができるだけかからないようにやります。
間引きのコツや注意点
- 間引きは、子葉が開いた時、本葉1枚の時、2~4枚の時、本葉5~6枚の時と、2~4回に分けて行います。
- 1回目の間引きの時には、子葉が奇形のもの、発育に異常があるものを中心に全体の半分くらいに密生している所を減らします。
- 2回目以降は、奇形や異常なもの、離れた位置にあるもの、病害虫にやられたものを間引きます。
- 間引く時には、周りの苗の根を痛めないように、残す苗の根元を手で押さえてから、間引く苗をそっと引き抜きます。
- 間引き菜は柔らかくておいしいので、多めに種をまいておけば長い期間、間引き菜を味わうこともできます。
追肥と土よせのコツと注意点
- 追肥
- 追肥楽天 は、土の中の根の先のあたりを目安に、株元から少し離れた場所にまきます。株元に近づけてまくと、根への障害が出るので注意が必要です。肥料をまいたら、かるく耕して土と肥料を混ぜます(中耕)。そうすると、土がほぐれて通気、水はけが良くなります。追肥は、苗の生長に合わせて肥料の位置を外にずらしていきます。苗が小さい時には、元肥は半分量で、残りは追肥でやります。
- 土寄せ
- 土寄せは、中耕でほぐした土を株元に寄せ、風雨で倒れないようにします。畝のわきの土をやわらくほぐしてから、株元の周りに土を寄せます。
追肥の注意点
チッ素とカリは、雨で流れますから、追肥で補うことが大切です。
葉菜類は、チッ素で生育がよくなりますから、肥料切れにならないようにします。ただし、結球野菜は、珠がこぶし大になる前までに追肥を終わらせるようにします。
果菜類は、苗を見ながら適度にやります。雨が多い時期に肥料が効き過ぎると、葉が軟弱になり、実止まりも悪くなるようです。
乾燥期に粒状肥料を多用すると、根が障害をおこし枯れることがあります。水やりと中耕で土と肥料をなじませるようにします。
支柱を立てるコツと注意点
蔓物野菜や風で倒れやすい野菜、重い実をつける野菜には、1株ごとに支柱を立てます。支柱には、仮支柱と本支柱があります。
- 仮支柱
- 仮支柱は、約30cmの棒を根を痛めないように株元に斜めにさします。ひもで結び、苗が根付くまでの一時的な支柱です。
- 本支柱
- 苗が根付いた後に立てます。直立式は、日当たりが良いが、風で倒れやすい特徴があります。合掌式は風には強いが、内側の日当たりが悪くなります。
本支柱の種類
- 直立式支柱
- 株のわきにまっすぐに立てます。ピーマン、ナス、つる物のネットを張る場合に使われます。
- 合掌式支柱
- 2本の支柱が斜めに交差するように立てます。草丈が高く、実が垂れ下がる野菜に使われます。
- ピラミッド式支柱
- 3本の支柱を三角錐のように立てます。合掌式にするほどの株数がない時に使われます。
- 行灯仕立て支柱
- 畝を囲むように支柱を立てて横にひもを張ります。つるが横に伸びる野菜を縦に伸ばすことができます。
- アーチ式支柱
- アーチ型の支柱を左右につなぎ固定します。支柱全体をつる物用ネットや雨よけのシートで覆って使うこともできます。
- オベリスク仕立て支柱
- オベリスクの支柱でおしゃれに作ることができます。蔓物野菜を庭先で少しだけ作る時に使われます。
支柱への野菜の結び方
キュウリ、トマト、ナスなど支柱に蔓が巻き付かないものがあります。こんな野菜は茎が伸びるのに合わせて茎と支柱を結んでやります。
結ぶ時期が遅れると、茎が折れたり曲がったりします。伸ばす方向を見極めて、バランスよく結んでいきます。
支柱と茎の結び方は、8の字になるようにひもをねじって結びます。茎が太く生長するので、ゆとりをもたせながらしっかりと結びます。野菜が成長し、不要になったひもは早めに取ります。また、重い実を支えるには、花房の下の茎を結ぶようにします。
受粉・人口受粉のコツと注意点
野菜には、自家受粉する野菜と他家受粉する野菜があります。
果菜類のほとんどは自然に実がなります。一つの花の中にオシベとメシベがあるからです。一つの花の中で受粉ができるのが、自家受粉です。
カボチャ、スイカ、アブラナ科などの、雄花と雌花が別々に咲くものは他家受粉の野菜です。これらの野菜は、自然に任せるよりは人の手で受粉させると確実に実がなります。
他家受粉の野菜は、同じ種類の野菜がほかにないと受粉できません。他家受粉の野菜には同じ科の野菜と交雑するものもあります。複数の野菜を植えている場合には、野菜の配置に注意したり、トンネル栽培で囲って隔離したりすることも必要な場合があります。
- 自家受粉する野菜
- マメ科、ナス科(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシなど)、キク科(ゴボウ、レタスなど)、アオイ科(オクラなど)
- 他家受粉する野菜
- アブラナ科、イネ科(トウモロコシなど)、ウリ科(カボチャ、スイカ)
人工受粉
人工受粉は、開花直後から3日以内が目安だそうです。晴天の暖かい日の花粉の活動力が高い早朝から午前10時までに行うと良いです。
雄花からオシベを抜き取り、爪にこすりつけて花粉が出ることを確かめたら、雌花のメシベの先端にオシベの花粉をこすりつけます。1本のオシベで10本のメシベに受粉させたら、新しいオシベに交換します。
ラベルなどに人工授粉させた日を書いて、茎につけておけば収穫の時期を決めやすくなります。
敷きわらの使い方
敷きわらをすると、土の水分蒸発を防ぐことができます。株元にわらを敷くと、地温の上昇を抑え土の乾燥防止につながります。雑草が生えにくい、雨による泥ハネを抑える、土の中の病原菌が茎や葉につきにくいなどの効果があります。
高温乾燥期の種まきの後に敷きわらをしますが、発芽までの一時的なものなので、軽く敷きます。
地温上昇を抑えるには、追肥、中耕、土寄せの後に、5~10cmの厚さに敷きます。
敷きわらには、稲わらや麦わらが良いです。無い場合には、市販されている小分けの束を買うとよいそうです。刈り取った雑草でも良いですが、開花前の草を選んで使います。草の種が落ちるからです。
天候と農作業について
- 天候の変化に対処
- 暑さを防ぐには寒冷紗、寒さを防ぐにはトンネル栽培、風を防ぐには支柱や防風ネットが使われますが、よしずなどを使って支柱で固定し、日陰を作って夏の暑さから野菜を守ることができます。風の強い場所では、生垣や防風林を作っておくこともできます。この場合の防風効果は、風下で木の高さの7~8倍、風上では5倍の効果があるそうです。
- 台風と支柱
- 台風がよく来る地域では、支柱は合掌式の方が風に強いです。支柱は太い物を使い、深さ30cmほど土の中へ差します。支柱の交差部分は、ひもやジョイントグッズを使ってがっちりと固定しておきます。
- 雨の日の作業
- 雨の日には菜園にできるだけ入らない方がよいそうです。畝の土が固くなったり、水はけが悪くなったりします。泥ハネによる病原菌を葉や茎に付ける恐れもあります。カッパなどを着ての作業では動きにくく、野菜を傷つけることもあります。土が湿っている時に、土を耕したり、畝をたてたりすると土が乾いた時にひび割れることもあります。