盆栽の輸出
日本では今下火となっている盆栽が、ヨーロッパで人気だそうです。自然を凝縮した盆栽をアートとして楽しむ人が増えています。そんな状況を見て日本の盆栽農家の人たちも、直接ヨーロッパの消費者に届けるべく挑戦しています。
日本では、高松市が盆栽を育てている所として有名です。一時は中国からも買い付けに来て、高額の物を買って言ったと言います。世界から注目されている盆栽について、クローズアップ現代で取り上げていました。
盆栽とは
盆栽は、鉢で育てた草木を山水の趣に見立てられるように、樹姿や配置を考慮して育てるものを指します。芸術性の高い園芸の分野で、1つの植物が何百年と引き継がれる壮大な園芸です。
日本での盆栽ブームは下火
日本では、盆栽はお金持ち、年寄りの趣味と見られて来ました。そして、現在は住宅事情から盆栽を管理する庭もなく手を出しにくく、だんだんと盆栽に興味を持つ人が少なくなりました。
盆栽楽天 の魅力や飾り方、育て方などを教える教育を、若者や中年層へ積極的にしなかったことも影響しています。
ヨーロッパでは盆栽が人気
日本で失われた盆栽への愛情と意欲が、ヨーロッパで花咲いています。
盆栽の輸出額は、2008年には、国内の売上の1/6の5億円ありました。それが、2010年には61億円と大幅な増加となっているそうです。
日本では、盆栽文化として流行っていましたが、海外では、ビジネスとして捉えられています。
高松市での盆栽産地見学会
去年11月に開催された日本初の盆栽世界大会(高松市での盆栽産地見学会)では、参加者は外国人で盆栽愛好家やバイヤーの1000人が、次々と購入していました。ベトナムから来た人も、50個以上買い、コンテナで送るようです。
イタリア・ミラノでのパーティー
盆栽はアートとして人気のようです。パーティーでは、100~150本売れました。盆栽愛好者を集めてパーティーが行われます。盆栽は、自然のミニチュアとして捉えられています。
1900年のパリ万博の時から、フランスで盆栽がアートとして楽しまれるようになりました。以後、ヨーロッパでは、盆栽の静かなブームが続いています。
ミラノ市のクレスピ・ボンサイ社では、2haに10万本の盆栽を高松から購入したものを展示しています。
- 1鉢1万円以下の物
- 愛好者の育成・・・BONSAI大学などで奥行きを与える技などを教える
- 高級盆栽の限定販売
上記のようなやり方で、盆栽の愛好者は次々と盆栽を買うようになり、今では年商3億円になったようです。8歳~11歳を対象にした「BONSAI キッズ コーナー」も設けて、その親御さんも引き入れる対策を取っています。日本は、宣伝が不十分すぎると言っていました。
日本の盆栽農家の取り組み
高松市の盆栽農家の山地宏美さんは、フランス西部の農村で盆栽の手入れ法を実演していました。
度肝を抜く方法でした。根を出し、盆栽の生命力を見せつけるというものでした。木の全体、木の歴史も考えての方法でした。現地の人は、彼は我々にないものを持っていると驚いていました。
高松市では、かつての1/3に盆栽農家が減っています。1970年代には200軒ありましたが、現在では60軒になりました。
山地さんは、EU向けに、畑の3割を割り当てました。
- 生産者番号、産地、植えつけた年などを表すタグをつける
- 盆栽を置く棚を50cm以上にして、害虫がつかないようにする
- その他、土の消毒や年6回の公的な検査を行うなど大きく7つの基準があります。
山地さんは、「もっといい物を見せて、売りたい。中間マージンをなくし、直接売りたい。国内の市場が、海外の市場を求めている。日本の文化がビジネスとして成功しなければならない」と言われます。
今後、日本での盆栽への取り組み方(武蔵野美術大学の柏木さんの話)
300年~500年と年月をかけた貴重な盆栽が出て行ってしまうと懸念される一方で、また、Uターンして日本で盆栽趣味が流行ればいいとも言われています。
日本での今後の盆栽への取り組みについて話されていました。
- 自然とともに共生していく。(自然を感じ、自然から学ぶ)
- 手軽に盆栽が作れる環境を整備していく。
- 現在の生活様式の和洋折衷型の中に盆栽を飾る展示の仕方を教える。
若い女性に人気の盆栽
盆栽専門店をテレビ局が取材していました。2012.3.
盆栽の店の店主の話では、最近若い女性に小さな盆栽が人気だそうです。切花は数日でダメになるけれど、盆栽は何年も楽しむことができるからです。また、花が楽しめたり、かわいい実がなるものもあります。柿やりんごがなるものがあるそうです。
お客の若い女性は、「盆栽は場所をとらず、一つの盆栽の空間があると癒されます」と言います。
盆栽は敷居が高いと思われがちですが、気楽に四季を楽しめるものです。
小さな盆栽の人気ナンバーワンは、桜だそうで、自宅でお花見が楽しめるので人気だそうです。
2位は、長寿梅で1年中花が楽しめると言います。
3位は、藤です。小さな木に垂れ下がった藤の花は、何とも優雅ですね。
さいたま市大宮盆栽美術館
さいたま市大宮盆栽美術館は、〒331-0804 埼玉県さいたま市北区土呂町2-24-3にあり、電話は048-780-2091です。
<江戸時代から明治・大正時代まで、現在の東京都文京区千駄木にある団子坂には、多くの植木屋が集まって、菊人形づくりや盆栽業を営んでいました。しかし、大正12年(1923)に起きた関東大震災をきっかけに、より広い土地を求め、盆栽業者だけの村を作る構想によって誕生したのが、大宮盆栽村です。
現在の盆栽村周辺には、およそ10軒の盆栽園が営まれており、大宮盆栽村の名は世界的に知られています。村内には、もみじ通り、けやき通り、さくら通りなどがあり、四季折々の散策が楽しめる観光地ともなっています。>
盆栽の展示には、赤松、五葉松、楓、黒松、真柏(しんぱく)、津山檜、ちゃぼひば、もみじ、けやき、いわしで、花梨、梅、野梅、緋梅、姫しゃら、藤、杉、蝦夷松などの盆栽があります。1つ1つが威厳のある形をして、見るものを圧倒させてくれます。
http://www.bonsai-art-museum.jp/index.php