優しい虐待
勉強が出来、しつけも行き届いている自慢の子が、突然学校に通わなくなったり、自室に閉じこもってしまったりという「よい子の破綻」が問題になっているそうです。
研究者は共通する問題として、親による「やさしい虐待」に注目しているようです。専門家が勧める対策法を学びたいと思います。NHKのクローズアップ現代で取り上げていました。
不登校、ひきこもりの子ども達
小・中学生では11万5000人が不登校に、10歳代では10万人以上がひきこもりになっていると言います。
- 不登校・ひきこもりのきっかけは
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- 無気力
- 不安
- 友人関係
- 親子関係
- 非行
不登校・ひきこもりのきっかけは、上記のようなものがあると言われています。
研究者は、親の過剰なしつけや教育による「優しい虐待」があるのではないかと見ています。子どもをがんじがらめにして、心を蝕んでいくというのです。
子どもに少しでもいい点を取ってもらいたい、などという子ども支配という優しい虐待です。
- 小さい頃の親子の関係とは
- 子どもの甘えやわがままを親は認めたり、わかってあげます。すると、子どもは安心しのびのびと育ちます。
息子と娘が不登校になった母は
母は、息子は成績の良い子に、娘は礼儀正しい子になって欲しいと育ててきたそうです。
「不登校になったのは、私とは関係のないことだと思っていました。あの子の持って生まれたものがそうさせていると思っていました」と話していました。
カウンセラー楽天 の人は「あまり、自分をせめないで」と言いました。
「自分のラインがあった。しつけが行き届いているという。学年が上がるにつれて不登校になって行きました」
- 親子の交換日記では
- 「お母さんこそ、あなたにいじめられて死にそうです」中学校で不登校になった、今逃げている様な娘が許せないで、そんな言葉になったようです。
過剰なしつけや教育はなぜ悪いか
過剰なしつけや教育は、子どもが自分の価値を認められなくて、ストレスに弱くなり、自己否定感が強くなります。そして、対人関係でも、自己否定感が出てきて、どうしてよいかわからなくなるそうです。
親の気持ちを敏感に感じている子ども達(作家・重松清さんの話)
今の親たちが子どもの頃にも「教育ママ」という言葉はありました。
今は、子どもが一つ失敗すれば、大変だと親は思います。親の切羽詰まった気持ちを子どもは敏感に感じています。
うるさい父や母がいて、親の期待に答えようとして、子どもがすり減って消耗してしまっていると言います。
親自身の生い立ちが影響している
成績優秀で、近所でも評判であった母は、自分の中学生時代の日記を見て驚きました。
母親を悲しませないために全力で取り組んでいました。親の思いを汲み取ってやっていたのでした。
「あなたのためだからと言いながら、刷り込まれてやっていたのではないか」という思いに至りました。
魂を消されてしまっている人が、子どもにやってしまう、と言います。
本人は気づかないでやっているから大変です。
子どもを変えるには、親自身を変える必要があるそうです。
祖父母から、優しい虐待を受けた人が親となり、その時(子ども時代)の感情を回復できれば、子どもの感情をわかり、認めてあげることが可能だそうです。
15歳の娘が不登校になった母親は
親との関係で、本当に辛いことがあっても、寝る時に声を押し殺して泣いていた。
お父さん、お母さんと抱きついた思い出はありません。
親へのカウンセリング
- 子どもの頃に嫌だったこと、親にやめて欲しかったことを書きだす
- 画用紙を渡され、子どもの頃に嫌だったこと、親にやめて欲しかったことを書きだしてくださいと言われました。ある人は、自分の気持ちが真っ黒だったので、画用紙を黒く塗りました。言葉では表せなかったのです。
- 両親の子に生まれてきたくなかった。
- 親が大嫌いでしたね。
- 自分がかわいそうだなって思えるようになった。
- いい子を追い詰めている親は、いい子だった
- 子ども時代に蓋をしたものが、ぐるぐる回っているといいます。親が変われば、子どもにも伝わります。子どもの頃のネガティブを認めたら、子どものネガティブも認められます。
- 生まれて初めて本当の自分にあった。
- 幸せな自然なお母さんという顔を子どもの前でみせられるようになった。
- 娘がフリースクールに通えるようになった。
- 母は子供っぽくなった。表情や雰囲気でわかる。
大人は、言葉に対してタフだけれど子どもは大人の言葉で傷つきます。
子ども時代を振り返り、小さな失敗を恐れず、小さな失敗をいっぱいしながら進んで行こうと言っていました。