「せーの、にんにく」(子どものコミュニケーション力)
たっくんがバーチャンの家に遊びに来ていた。お昼どきにテレビを見ていたら、「せーの、にんにく」と、司会者が声をかけると、その場のお客が「にんにく」と、声を合わせていた。
たっくんは、すぐにまねた。
「せーの、にんにく」と、言うのでジーチャン、バーチャンも笑顔で「にんにく」と言ってやる。
ところが、これがおもしろくてたまらないようで「せーの、にんにく」と「にんにく楽天 」を十回程やらされた。大勢で声を合わせることが新鮮だったのか。初めての唱和体験か。
もう、そろそろ友達と遊びたい気持ちがめばえているのかな。
たっくんは家ではテレビをあまり見せてもらえない。テレビが一台しかないのと、パパのパソコンのモニターと兼ねているからだ。
ジーチャンの家では、教育テレビや子ども向けマンガなど見せる。夕飯を作る時間帯は、バーチャンもよくテレビにお守りをお願いしている。
バーチャンは暇がある時で、たっくんが興味を示した時は絵本を読んでやる。
ももたろうは、岡山人としては必須の絵本だ。つるの恩返し、うらしま太郎、舌きりすずめ、一寸ぼうしと何回も読んでいるうちに、たっくんが言った。
「たっくんはな、ひよこを助ける」
「はあ?」
なるほど。つるを助ける、亀を助ける、すずめをかわいがる、こんな話を聞いてるうちに思ったんだね。
「たっくんは、エライね。ひよこを助けるんだね」
「うん、ひよこを助ける」
すごーい成果だ。こうなったら、たっくんが覚え切るまでバーチャンは絵本を読んであげるからね。
今時の子どもの特徴
2009年11月、テレビの教育を扱った番組で、今時の子どもの特徴を、小学校受験を目的にした塾で教えている先生が述べていました。
- 人の話が聞けない
- 日頃の親の口数が多すぎると、人の話を聞かなくなるそうです。「早く食べて、早く着替えて」と一日中言われていると、バックグラウンドミュージックと化すのでしょうか。
- 自分で自分のことができない
- 親が待てなくて手を出しすぎるようです。自分でボタンをはめたり、リボンをむすんだりできるように、気長に待ってあげることが必要なようです。豆をはしでつまんでお皿へ移動するなど巧緻性をはぐくむことが大切だそうです。
- 人と会話することがヘタ
- 集団行動ができないようです。兄弟も少なく、少子化の影響もあり、兄弟や近所の友達と遊ぶことが少なく、友達を気遣うことの訓練ができていないようです。マイペースで自分のことしか考えられない子どもが多いそうです。
今、お母さんのアクセサリーのような感じを受ける子どももいるそうです。子どもを一人の人間として向き合うことで、良い方向へと育っていくと言われていました。
この塾では、後出しジャンケン、ジャンケンで負けるものを出す、三角パズルを使ってモデルと同じ図形を作る、「あ」のつく言葉を知っているだけ言う、「魚」の仲間というのはどんな仲間?という質問に答える、グループで何かを作るなどの問題を出して子どもの発達を促しているようです。1年も経つとしっかりとしてくるそうです。2009.11
「個性」より大切な「人の気持ちが分かる」
養老孟司先生のベストセラー「バカの壁」 新潮新書2003年初版発行680円+税 を読んでいて、子育てに役立ちそうな箇所を見つけた。解剖学者の養老先生は、人間はそのままでもう個性を備えているので、若い人に「個性的であれ」と言わないで「人の気持ちが分かるようになれ」と言うべきだと思う、と言われている。
まず、親や友達の気持ちが分かるということが日常的には重要な問題で、これが「常識」につながる。この常識を得ないまま世の中で個性を発揮して生きていくことは難しい。
社会では、いろんな人とつながって生きているので、「人の気持ちが分かる」ということは大事なことですね。小さい頃からいろんな場面を通して教えてあげたいですね。親の姿勢をこどもは小さな時から見ています。まず親がお手本を常時見せていることがポイントでしょうか。2008.8.23
サイレント・ベビーの恐怖
幼児に母親の似顔絵を描かせるとほぼ全員が、ママが笑っている顔を描くという。これは、本能的にこどもが母親の笑っている顔を求めている証拠という。
「おかあさん、いつもこどもに向かって最高の笑顔を見せていますか」
サイレント・ベビーとは、笑いが少なく、表情が乏しい赤ちゃんをさすが、人にあやされても無表情で天井を見つめたままとか、視線を合わせないなどの特徴を持つ。こんな赤ちゃんは、「引きこもり」「不登校」の子に成長することもあるという。
サイレント・ベビーが作られる原因は、母親とのコミュニケーションのあり方に問題があるそうだ。人の喜怒哀楽などの感情の働きは、だいたい1歳までに形成される。この時期に母親の表情が乏しいと赤ちゃんは感情の表現方法を学ぶことができないのだ。
赤ちゃんが泣くことにもきちんと対応することが大事だ。赤ちゃんが泣いていても放っていると「自分が泣いても母は来ない」という経験から無力感を形成してしまう。
母親だけに責任を押し付けてはいけない。母親が笑って育児できるような家庭環境を父親が積極的に作っていかなければならない。
「知って得する健康常識」 内藤博 監修 PHP文庫 476円+税 から抜粋