起立性調節障害(OD)
小中学生の1割に当たる子どもが、朝起きられず、起きても立ちくらみや頭痛などで体がつらい、思春期特有の自立神経失調症の起立性調節障害と言われているそうです。
午後から回復するために、怠け者、仮病と受け取られることもあり、日本小児心身医学会は、起立性調節障害は、ストレス性の身体疾患として、診療ガイドラインを設けています。
親や先生は、起立性調節障害のサインを見逃さないようにして欲しいです。
起立性調節障害の原因は、ストレスや体質
日本小児心身医学会の理事長・田中英高・大阪医大准教授は、主な原因はストレスと体質と言われます。
ストレス楽天 は、自立神経の働きを鈍らせ、脳や身体への血流を低下させ、貧血などの症状がでます。起立性調節障害の子どもは、きまじめなタイプが多く、ストレスをためやすく、うち半分は不登校になるといいます。
起立性調節障害(OD)の症状は、朝起きられない、頭痛、立ちくらみ、食欲不振などでいす。
*田中英高先生著「起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブック」が、中央法規出版 03-3379-3861 税別1600円で出ています。参考までに記しておきます。
起立性調節障害のガイドライン
ガイドラインは、一般の小児科医向けで、基礎疾患を除外してから、起立試験を行います。朝起きた後、誰でも一過性の血圧低下はありますーが、95%が25秒で戻ります。
起立試験の実施(タイプを分類)
- 起立直後性低血圧(血圧の回復に25秒以上要する)
- 体位性頻脈症候群(血圧は正常だが、脈拍が起立時に35以上増える)
- 神経調節性失神(意識消失などの発作がおきる)
- 遷延性起立性低血圧(起立後、3分~10分ほどして血圧が寝ている時の15%以上低下する)
以上の4タイプに分類し、症状を軽度、中等度、重度の3段階に分けて、身体的重症度を判定します。
さらに、心の面でも診断を行います。
心身症としてのOD診断チェックリスト
- 学校を休むと症状が軽減
- 身体症状が再発、再燃を繰り返す
- 気になることを言われると、症状が悪化する
- 1日のうちでも身体症状の程度が変化する
- 身体的訴えが2つ以上ある
- 日によって身体症状が次から次へ変わる
以上の6つの質問を保護者、子どもへ実施し、うち4項目で該当すれば「心理社会的関与」があると見なします。
身体の重症度と心理社会的関与の組み合わせなどで、治療法をきめていくそうです。
起立性調節障害(OD)の治療法
- 軽症の場合
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- 早寝早起きの励行
- 起床時に30秒ほどかけて起きる
- 塩分1日当たり10~12g程度とる
- 水分を1日最低1.5リットルとるなどを指導するまた、学校の先生にODであることを説明し、患者の心理的負担を軽減する
- 中等症以上の場合
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- 昇圧剤などの薬物療法もあります。
- あせらないことが大切
- 治療には、長時間を要する場合もあります。中学1年生の男子がODになり、引きこもり状態になり、高校は通信制へ進学。診察とカウンセリングを続けると高校2年生ころから体調がよくなり、勉強もはかどり、公務員試験に合格しました。起立性調節障害(OD)は、粘り強く見守り、怠け者など、否定的なことを言わない親や先生の態度が、子どもには有効だそうです。あせらないことが、治療への近道になるそうです。