色彩と人間
「地球ドラマティック」では、人間と色の関係について深く掘り下げていました。これは、2011年イギリスで制作されたもののようです。
色を認識するために、脳の中では何が起きているのか、色を感知するメカニズム、色彩と感情についての謎も解明していました。
色の見え方は、誰しも同じですか
私たちは、今いろんな色に溢れる世界に住んでいます。服を着る、食べる、家に住むなど、様々な色彩に取り囲まれています。
私達に見えている色は、目に見える通りなのでしょうか。目に見えるありのままの姿ではないというのです。さて、どうしてでしょう。
赤い色の特徴
人々の色の見え方は、同じでしょうか。
ロンドン大学の実験です、場所はロンドン科学博物館で行われました。一人ひとりの人間で色はどう見えているかの実験です。
150人が参加しましたが、年齢、性別、国籍など様々です。数週間の実験でした。
赤い服を着ることによって、心理や行動がどう変わるか、調べました。スポーツなどの勝敗について、テコンドーの試合で、赤い服と青い服に分けました。すると、赤い服を着た人の2/3が勝利しました。赤と青を反対にすると、審判は赤を勝たせました。
赤色には力があり、審判の判決にも影響を与えるほどでした。赤を身につけると勝利する確率が高くなることがわかりました。
なぜ、赤い服を着ると勝利の確率が高くなるのか
赤を着ると本人が力をつけるのか、相手が戦闘意欲をなくすのか。
サッカー楽天 選手で実験が行われました。テストステロンとコルチゾールの量が比較されました。テストステロンは、自分が優位に立つホルモンで、コルチゾールは、ストレスホルモンです。
実験終了後から4週間で結果が出ました。テストステロンの量は、着る服に関係しませんでした。コルチゾールの方には、少し違いが出ました。コルチゾールはキックの前には上昇しますが、赤い服の方はコルチゾールの分泌量が少なかったそうです。
赤い服を着ることで自信が高まり、コルチゾールの分泌を抑えた結果、ストレスを減らしたようです。
赤は、ミスをさせる色でもある
IQテストの前に赤を見せると、点数が下がることがあるそうです。赤は、ミスを犯させる色のようです。
赤は覚醒状態を引き起こし、敏感に感じます。青は冷静さを増すようです。
青色と黄色
レストランの照明といえば、赤や黄色が多く使われています。しかし、ある店で青い照明にした所、夜の10時に活気が出るようになったそうです。
目に存在する光感受性神経節細胞は、光受容体と呼ばれ、睡眠や覚醒の調節を行なっています。これは、青の波長のみに影響を与えるそうです。
色が見えるようになった理由
ワシントン大学のジェイ・ナイツさんは、色が人間に及ぼす影響を研究しています。
海の中の単細胞の頃、見えるものは空だけでした。太陽エネルギーの昼の光は紫外線があるので避けていました。夕暮れの波長の長い光を受けていました。その頃の色は青と黄色のみでした。
4000万年前には、人間は赤と緑を感知し始めました。エサや自然界の危険な物を見分けることが必要だからです。そして、進化の過程でだんだんと色が増えてきました。
色の表現と自然界
色と人の感情には、密接な関係があります。赤い果物が好きで、赤は喜びの色となります。
赤と緑は学習によって得た色で、青と黄は昔からあった色です。色が感情や行動に影響を持ちます。
色の恒常性
脳は、人工照明の店から日光の照る外に出た時に、同じ色に修正してくれています。これを色の恒常性といいます。
私達が物に対しての知識で、バナナは黄色と認識していると、少々暗い所でも黄色に見せてくれています。
言葉(単語)と色の関係
色の表現・色を表す単語を5つしか持たない部族がいます。日々の生活の中で必要となる色は、よく見分けられるようです。緑色のわずかな違いも分かるようです。
しかし、青という単語を持っていないと、日々この色の区別をしていないので、緑の中に青が混じっていても青を探せません。
人間はどう色をつくりだすのか
49枚の色のタイルパネルを自由に配列してもらう実験では、多くの人が自然の風景に似た配色パターンになっていたそうです。知らず知らずのうちに自然界を重ねてしまうようです。
色の知覚の仕方は、年齢や地位や日によっても違います。色は個人の経験によって見え方を変えます。また、感じ方によって色は違ってきます。
色は人間の進化とともに増えてきたということを初めて聞きました。何気なく、色があるのが当たり前と思って見ていますが、なかなか深い意味があるようです。
豊かな色彩の世界に生まれてきて、本当に光栄だと思いました。