不育症に補助金
岡山県真庭市(おかやまけん、まにわし)が日本で初めて、不育症の治療を受ける人に補助金を出すことになりました。
1年間で30万円の補助金が出ます。現在では、16人に1人が不育症だと言うことです。不育症の人への支援は、少子化対策にも繋がることから、全国の自治体から問い合わせが来ているそうです。
不育症の治療
妊婦の16人に1人が不育症ですが、治療を受ければその85%の人が出産できるそうです。
しかし、高額な治療費がかかることから、治療を断念する人が多いようです。薬代が月に6万円かかると、10ヶ月で60万円かかることになります。その他にも、検査費や交通費などもかさみ、約100万円超かかるようです。
不育症の患者への支援
不育症の人は、妊娠して喜び、死産して子どもとの辛い別れを繰り返します。そんな苦労・悲しみを身近に見てきた保健師さんは、自分たちで何かできることはないかと思われました。そして、不育症の患者さんから、話を聞くことを始めました。
そして、お金の問題が解決すれば、治療に挑戦したいと思っておられる方が多かったそうです。そして、岡山県真庭市では、めでたく補助金が出るようになりました。患者さんへの支援は、少子化対策楽天 に繋がります。1人でも2人、赤ちゃんが生まれてくれることが、期待されています。
4度流産を繰り返した方は、共働きだけれど、補助金があると私も家族もとっても助かりますと、言っていました。
今、全国の自治体から問い合わせが来ているそうです。
また、真庭市では、不育症の人のケアにも力を入れるために、同じ患者同で話し合うことも進めるそうです。
補助金制度を周知させるために、産婦人科などにポスターを貼って知らせています。
不育症とは
不育症は、妊娠しても流産・死産を繰り返し、元気な赤ちゃんが得られない状態のことです。自然流産は全妊娠の10~15%の割合で発生します。
不育症は、原因が受精卵・胎児にある場合と、母体にある場合があります。
流産の大部分は胎児が問題で発生し、流産した胎児及び胎盤の染色体検査を行うと、60~80%に染色体異常が認められるそうです。
受精時には胎児の40%に染色体異常がみられても、分娩時にはそれが0.6%となります。受精時に40%近くあった染色体異常の赤ちゃんは、ほとんどが流産というかたちで妊娠を終了してしまうのです。
流産には母体に原因がある場合もあります。母体要因がない女性は妊娠を繰り返すうちに出産に成功し、何らかの母体要因がある女性だけが残っていくために母体要因による流産が増えていくそうです。
不育症を治療後、無事出産された例
42歳女性は、4年前の38歳の時に初めて妊娠しました。大層喜んでいましたが、妊娠8週目に赤ちゃんの心臓が停止しました。
2人目の赤ちゃんも妊娠9週目で心臓が止まり、亡くなりました。40歳という高齢が原因かもと医師に言われたそうです。
しかし、赤ちゃんがあきらめきれず、インターネットで調べたら、岡山大学に不育症の専門外来があることがわかりました。20年前から岡山大学医学部病院では、不育症と取り組んでいるようです。
中塚幹也医師にかかり、検査などしたら、胎盤の血管がつまりやすいことがわかりました。医師の指示の元に、毎日自分で、血栓を防ぐ筋肉注射を太ももにしました。
この薬は、保険適用になっていませんから、出産までに約40万円ほどかかります。広島県内からの交通費も入れると、100万円を超えました。
しかし、めでたくかわいい女の子を出産されました。赤ちゃんの元気な姿を見て、お母さんは涙が止まらないと言っておられました。お父さんも亡くなった赤ちゃんの分も元気に育って欲しいと言われていました。
本当におめでとうございました。
不育症の原因
- 子宮異常が原因のものには、子宮奇形、子宮筋腫、頚管無力症、子宮腔癒着症などがあります。
- 内分泌異常が原因のものには、高プロラクチン血症、甲状腺機能異常、糖尿病などがあります。
- 免疫異常が原因のものには、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫疾患、同種免疫異常があります。
- 夫婦染色体異常が原因のものがあります。流産を繰り返される方はこれらの異常がないかのスクリーニング検査を受けます。異常がみつかれば、その治療をすることになります。半数以上,施設によっては7割近くの方が、検査はすべて正常で、習慣流産の原因 は不明ということが多いそうです。
男女どちらにも問題はないのに、HLAタイプが似すぎているために流産してしまう場合もあるそうです。ある病院の患者さんの場合は、女性側の自己免疫異常であることが多いそうです。