アレルギー治療に手がかり
アレルギーが原因の病気はたくさんあります。そして、何がアレルギーとなっているのかその原因物質が分からないことが多いです。
現代人の多くの人が持っているアレルギー疾患の原因や根本的治療法が早く見つかることを願います。
バナナで花粉症改善か?
東京理科大の谷中昭典教授らの動物実験で、バナナを食べると花粉症が改善されることが分かりました。2010年12月12日、大津市で開かれた日本機能性食品医用学会で発表されました。
バナナの成分が免疫バランスを改善し、アレルギー症状を抑えるらしい。
実験では、花粉症のマウスに1日約10gのバナナを3週間与え、通常のエサのマウスと比較しました。バナナを食べたマウスは、アレルギーを引き起こす物質の量が、通常のエサのマウスに比べて、半分以下に減りました。
また、花粉症になると増える白血球の一種「好酸球」の数も、正常マウスと同レベルまで減少しました。
谷中昭典教授は、「マウス、1日約10gのバナナは、人間ではバナナ3~4本に相当するでしょう。今後どんな成分が効果を生んだか、人でも花粉症の症状が軽くなるかを調べたい」と、話しています。
金属アレルギーと「掌せき膿疱症」
68歳女性は、足の裏が赤く腫れて、歩くたびに鈍い痛みに襲われ、手足の皮膚に膿のような湿疹が出て皮がむける「掌せき膿疱症」と診断されたそうです。
掌せき膿疱症は、30歳~40歳代に多く、ステロイドの塗り薬や紫外線照射が一般的治療法だが、治りにくいそうです。
女性は皮膚科から歯科医院を紹介され、虫歯や歯周病の治療をしたところ、2ヶ月後に腫れはおさまったそうです。治療の内容は、歯科で一般的に行っているもので、金属アレルギー楽天 であれば、アレルギーを起こさない素材のものに取り替えるそうです。
この病気の発症に扁桃炎が関与することは知られているが、虫歯や歯周病を治療するとなぜ皮膚病が改善するのか、詳しい仕組みはわかっていない。金属アレルギーや口内の炎症、口の中の細菌の作るたんぱく質が、皮膚病を誘発しているのではないかとの見方があるようです。
2009.1.18の読売新聞から
IgG(抗体)を調べればアレルゲンを判定できるかも
烏山一(東京医科歯科大)免疫アレルギー学の話によると、急性アレルギー「アナフィラキシーショック」は、白血球の一種の「好塩基球」が活性化することにより起きるそうです。
マウスの実験では、マウスの好塩基球の表面のIgG抗体がアレルゲンと結合し症状を起こし、血小板活性化因子を放出するようです。
IgGを調べれば、アレルゲンを事前に判定できるかも、ということでアレルギー人口が増加の一途をたどっている今、大いに期待したいし、早期のアレルギー治療・予防法を確立していただきたい。2008.3.14毎日新聞より抜粋
「PDLIM2」というたんぱく質が、免疫暴走のブレーキ役
理化学研究所が、花粉症やリウマチなどのアレルギー疾患につながる炎症反応の暴走に対し、体内の特殊なたんぱく質が"ブレーキ"の役割を担うことを突き止めました。30日付けのアメリカ科学誌「ネイチャー・イムノロジー」電子版に掲載されました。(2007.5.1.読売新聞)
花粉症は今や国民病と言ってよいほどです。花粉症と診断された人21パーセント、自覚症状からそう思う人19パーセントで合計40パーセントにもなるらしい。
石原東京都知事が、ご自身も花粉症になって辛さを体験されたからかどうか定かではないが、杉伐採に27億円を投入という記事が2005年11月頃にありました。
国の方針では、花粉の極少ない品種の苗木を今増やしている最中だそうです。 花粉症は、鼻水、くしゃみ、涙、頭痛、頭重と様々な症状が出て集中力を欠き、本人はとても辛い。私もひどかったが、最近は落ち着いています。年取ったせいかな。関節が痛いとか、他にアレルギーが移ったのかと思っています。
こんな困ったアレルギー疾患の治療に手がかりができたとは、ありがたいことだと思います。
「PDLIM2」というたんぱく質が、免疫暴走のブレーキ役になってくれるそうです。薬剤などでこのたんぱく質を活性化する方法がわかれば、アレルギー疾患の新しい治療法につながる可能性があります。早期に人間に優しい薬ができあがることを望みます。
離乳食が早すぎると食物アレルギーになりやすい
食べ物による消化管のアレルギーが起こるのは、生後2~3ヶ月から1歳までが最も多く(特に6ヶ月以下の乳幼児に集中している)年齢が大きくなるほど減ってくるそうです。
1歳以下の赤ちゃんの腸は、消化吸収力が未熟な状態だが、成長発育のために与えられた食べ物の中から、なるべく多くの栄養素を吸収しようとします。未熟な消化吸収力を補うために、完全に消化分解されていないタンパク質(分子量が大きい)でも吸収してしまう特異な能力を備えています。赤ちゃんの特異な能力が食物アレルギーの原因になってしまいます。
この特異な能力は、生後3ヶ月を過ぎて腸の機能が発達するにしたがって、少しずつ失われます。1歳以上になると食物は消化分解作用によってアレルゲンとしての活性を失うほど小さな分子量まで分解されるようになります。
3歳ごろには消化吸収能力や腸の免疫力が、大人と同じレベルまで発達するから、食物アレルギーは起こりにくくなります。
子供を食物アレルギーにしたくないなら、離乳食楽天 の開始は腸の食物受け入れ態勢がきちんと整う生後4ヶ月以降になってからがよいということになります。
赤ちゃんの食物アレルギーで多いのが、牛乳(生後3ヶ月以前に多い)、卵、大豆です。
このほかに頻度の高い食物は、肉類のグループでは、牛肉、豚肉、鶏肉。
魚介類のグループでは、いわし、さば、あじ、かつお、えび、かに。
豆類のグループでは、小豆、グリンピース。
穀物のグループでは、米、小麦、そば。
その他では、香辛料、ピーナッツ、くるみ、オレンジ、バナナ、チョコレート。
最近の調査では、果物や野菜のアレルギーが増加していて、メロン、りんご、すいか、桃、トマト、なすが多いそうです。
「食べるサイエンス」 木村修一(昭和女子大学大学院教授)監修 ダイヤモンド社から抜粋 1997年3月21日初版発行
食物油とアレルギー
食べ物によってアレルギーが悪化する場合があります。とくに、日常摂取する食物油に注意する必要があります。問題になるのは脂肪に含まれる脂肪酸の種類である。と、名古屋市立大学薬学部 奥山治美教授は指摘されています。
脂肪酸の種類 | 多く含む油 | 代表的な脂肪酸 | 対アレルギー |
n-3系 | 魚貝類、シソ油、キャノーラ油 | α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸、 ドコサヘキサエン酸 |
アレルギー性炎症の原因となる物質の生成が少ない |
n-6系 | コーン油、綿実油、紅花油、ヒマワリ油、ゴマ油 | リノール酸、 アラキドン酸など |
アレルギー性炎症の原因となる物質の生成が多い |
上記のように、アレルギーのある人は、n-3系の脂肪酸を含む、魚貝類、シソ油、キャノーラ油を摂るとよいようです。
「もうアレルギーに苦しまない」 永井博いち著 日本薬学会編 丸善(株)発行 平成12年9月30日発行から抜粋
リノール酸(紅花油)を減らそう
日本ではリノール酸の欠乏症の事例がないので、特にたくさんリノール酸をとる必要がないそうです。リノール酸はすべての食品に含まれているからです。
私たちの遺伝子にとっての理想的な油の配分はα-リノレン酸系とリノール酸系がほぼ等しい摂取が最良といいます。
最近はリノール酸過多による、循環器系疾患、アレルギー、癌などの増加があります。半分程度に減らしてもよいらしいです。
リノール酸は、肝臓でアラキドン酸となり、全身の細胞に運ばれます。
アラキドン酸は、何か刺激のあった時にエイコサノイドという局所ホルモンに変化し、病気の元凶となります。
炎症やアレルギーを抑制するために「エイコサノイド」の合成を抑える薬が大量に使用されています。それらの薬と似たような効果が、リノール酸を減らすことで得られます。
食用油のリノール酸とα-リノレン酸の含有量 | |||
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種類 | リノール酸(%) | α-リノレン酸(%) | その他(%) |
紅花油 | 79 | 0.3 | 21 |
コーン油 | 65 | 3 | 32 |
大豆油 | 59 | 8 | 33 |
綿実油 | 54 | 0.5 | 45 |
ゴマ油 | 47 | 3 | 50 |
混合サラダ油 | 41 | 9 | 50 |
菜種油 | 30 | 11 | 59 |
オリーブ油 | 12 | 1 | 87 |
しそ油 | 12 | 60 | 28 |
「危ない健康食品、効かない健康食品」 富山医科薬科大学 浜崎智仁・平井康子共著 エール出版 本体1400円 から抜粋
てんぷらやフライは、ボリュームがあって若い人たちには好まれます。が、それが習慣となって中年になっても同じように食べていると怖いと思います。
余ったカロリーがお腹についています。まず、なるべくてんぷらやフライを減らすことから取り組みたいと思います。それから、できあいのものを買うと、どんな油を使っているかわからないので自宅で手作りすると安心です。2008.7