夏バテ予防法
猛暑が続き冷たい物ばかり多く摂っていると、食欲がなくなり栄養素も不足しがちになります。そして、エネルギーや栄養素の不足から来る夏バテが体を襲ってしまいます。
夏バテの予防法を勉強して、元気で秋を迎えたいと思います。
夏バテはなぜ起きる
- 体温の上昇
- 暑くなると体温も上昇し、代謝も盛んになり、ビタミンB群、ビタミンC、クエン酸などが消費されます。
- 多量の汗
- 多量の汗をかくことによって汗に含まれる、水分、ミネラル(Na、K、Mgなど)が失われます。
- 体熱の生産を抑える
- 体熱の生産を抑えようと、食欲を低下させ食事量を少なくなります。
上記のような条件がそろうと、体は活動に必要なエネルギーや栄養素が不足し、体を動かしたくなくなります。これが、夏バテです。
夏の疲れの診断(漢方的見方)
漢方医は問診、脈診、腹診、髪の毛、耳の形、舌診などを総合して診断します。
舌診(舌の状態を見る)
舌は常に一定ではなく体調により変化しています。胃腸、水分代謝、血液、心(精神状態やストレス)、病気の進行・深さ、元々の体質、体の寒熱性などの様々な状態を表現しています。
- 正常な舌
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- うす紅色の鮮やかなピンク色
- 苔はうっすらと白くついている程度
- 適度な潤いがある
- 程よい大きさと厚み
- 動きが自由である
- 血行が悪い人の舌
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- 舌の裏側の血管が青筋がたって見える
- 舌の全体が紫色や暗い感じの舌になる
- 舌の端に黒い斑点が出ます。女性の場合は、内膜症の時に出ることもある
- 元気の源が不足している人の舌
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- 舌の表面がつるっとして光る
- 白い苔が舌全体に生える(暖める力の不足、体が冷えやすい、午前中は元気がなく、午後から元気がでる)
- 潤いの足りない人の舌
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- 舌が赤くて口が渇く
- 舌が割れている
- 体が湿気ている人の舌
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- 全体的に白く中央が割れていることもある
- 体の水分が不足している人の舌
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- 全体的に赤く、乾燥した感じの舌になる
- ほてり、のぼせ、不眠、肌が乾燥してかゆいなどの体の症状が出ることがある
舌診(舌の色など)
- 白い舌
- 顔色が悪い、貧血、疲れやすい、食欲不振、寒がり、動くとよけいに疲れるなどの症状があります。
- 白くてなめらかな舌(水分が多い舌)
- 体の冷え、機能低下が考えられます。
- 白くて苔がない舌
- 余分な水分の停滞や内臓の機能低下が考えられます。
- 黄色で乾燥した舌
- 熱により体の水分が消耗している状態。白い苔が黄色に変わったら冷えは解消されたが、体内に熱がこもったなど病気の性質が変わったことを表しています。
舌診(舌の異常な場所から病気を探る)
舌は経路の五臓六腑につながっているそうです。舌の異常のある場所で、内臓の異常がわかります。
- 舌の両脇
- 舌の両脇は、肝と胆の異常を表す。ストレスがあると両側が赤くなる
- 舌先
- 舌先は心と肺の異常を表す。睡眠不足、疲労、心の機能の亢進で舌先に突起ができたり、口内炎になったりする
- 舌の中央
- 舌の中央は、脾(消化器全般)と胃の異常を表す
- 舌の奥
- 舌の奥は腎の異常を表す
顔の色による病気の診断
- 白い顔
- 元気不足、疲れやすい、風邪を引きやすいなどの症状が出ます。艶がない場合は、血液や栄養不足が考えられます。髪や爪に潤いがなかったり、めまいがあったり夢を多くみるそうです。
- 青い顔
- 血液循環が悪い状態です。アザが治りにくい、肩こり、部分的に疼痛があったりします。夜泣きする子は、鼻からあごにかけて青紫色のことも多いそうです。
- 赤い顔
- 顔全体が赤い場合は、高熱や風邪の時、便秘がちの人にもみられます。頬だけほてる人は、水分が足りない時、午後に熱が出たり、寝汗をかく人、やせている人に多いそうです。
- 黄色い顔
- 胃腸機能が悪い人、鮮明な色は体内に余分な熱と水分がある湿熱証だそうです。黄疸やウイルス性肝炎の時にも黄色い顔になります。
- 黒い顔
- 腎が弱い人、血液循環が悪い人がなります。腎とは、腰、髪、耳、歯、骨、生殖器の機能も担っています。
夏バテを防ぐ食生活
夏バテ楽天 の予防には、暑さによって失われるビタミン、ミネラルをしっかりと補充し、エネルギーや栄養素をしっかりと取ります。下の食品を意識して、上手に組み合わせて食べてください。
- 暑さによって失われる食品を取る
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- ビタミンB群を多く含む食品−豚肉、ウナギ、サバ、ブリ、玄米、豆腐、味噌、ほうれん草、ゴマなど
- ビタミンCを多く含む食品−じゃがいも、トマト、ブロッコリーなど
- クエン酸を多く含む食品−レモン、梅干し、かんきつ類、酢など
- ミネラルを多く含む食品−果物、牛乳、緑黄色野菜、海藻、シラス干しなど
- 食欲を増す工夫をする
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- 香辛料・香味野菜など胃液の分泌を促進し食欲を増す食品−カレー粉、トウガラシ、コショウ、ニンニク、ショウガなど
- 消化を助ける食品−山芋、大根、オクラ、モロヘイヤ、パイナップル、キウイなど
弱った胃腸におすすめの食品は、山芋だそうです。山芋は胃腸を元気にしてくれます。山芋豆腐などがよいようです。山芋をすりおろし、塩とだし汁を入れて中火で5分練ります。火からおろして、彩りにとうもろこし、枝豆を少量入ます。冷蔵庫で1時間ほど冷やして固めます。
夏バテに効く栄養素と食材
- たんぱく質
- 鶏肉などの肉類、大豆、チーズ、納豆など
- ファイトケミカル
- トマト(リコピン)、ズッキーニ、(ベーターカロチン)パプリカ(ベーターカロチン)、ナス(アントシアニン)
- ビタミンA
- ウナギ、レバー、ニンジン
- ビタミンE
- ウナギ、アーモンド、カボチャ
- ビタミンB1
- 豚肉、豚肉を材料にしたハム
- ビタミンC
- 柑橘類、サツマイモ、ブロッコリー、ピーマンなど
夏バテを防ぐ料理法
- 酢の物
- 食欲を促すには、酢の物、すし、漬け物、ピクルスなどの酸味の効いた料理が良いでしょう。
- ソース、タレの利用
- 梅肉、レモン汁、カレー粉、トマトソースなどのソースやタレをじょうずに利用してみてください。
- 油・オイルの利用
- 少しでエネルギー効果が高い油・オイルを利用すると食欲の無い時にもエネルギーが確保できます。
夏に最適、栄養ドリンク
夏の暑さは、食欲不振、睡眠不足、栄養の偏り、疲れなどを引き起こします。疲れをためない手助けをしてくれるビタミンB1やミネラルを補給します。
- 日替わり冷製スープ
- ミキサーで作ります。ベースは、豆乳、じゃがいも、玉ねぎです。この場合、豆乳と牛乳を半々にしてもよいそうです。豆乳は、まろやかさ、こく、カルシウム、ビタミンB1を含んでいます。このベースに、ほうれん草、カボチャ、人参、グリンピース、とうもろこしなどを日替わりで入れて、冷製スープを作って飲むとよいようです。何だかお腹の底から、力がわいてきそうですね。
野菜充実の最強ジュース
- 野菜ジュース
- 材料は、小松菜、バナナ、人参、りんご、レモン汁、氷、水、クエン酸でミキサーにかけます。コップについだら上にエキストラバージンオイルを載せてできあがりです。
- フルーツジュース
- 材料は、オレンジ、人参、りんご、レモン汁、はちみつ、クエン酸でミキサーにかけます。
1日1回、朝に飲みます。食事制限のある人は、医師に相談してください。
冷たい物を取りすぎる・水分摂取について
アイスクリームやジュース、アイスコーヒー、すいかなど、ついつい食べてしまいます。が、胃液の分泌が抑えられ食欲不振や消化不良になります。
大量の水分の取り過ぎも胃液が薄まり消化不良につながります。
水分は、のどが乾く前に少しずつ小刻みに補充するのがコツだそうです。室内では、30分ごとに1口、室外では30分ごとにコップ1/2~1杯が目安のようです。特に、高齢者やお子様は水分摂取量に気をつけてください。
寝ている時も水分は失われていますから、意識して水分をとる必要があります。水分をとる目安は、1日に1.5リットルから2リットルと言われています。毎日しっかりと最低でも1.5リットルは飲むように心がけましょう。持病をお持ちの方は、主治医に水分摂取量についてお尋ねになるとよいでしょう。
ORS(Oral Rehydration Solution:経口補水液)について
ORS(経口補水液)は、水分と電解質をすばやく補給できるようにナトリウムとブドウ糖の濃度を調整した飲料です。
2003年にCDC(米国疾病管理予防センター)が「小児における急性胃腸炎の治療−経口補水、維持および栄養学的療法」)と題した最新のナショナルガイドラインを発表し、軽度から中等度までの脱水状態へのORS(経口補水液)の使用を推奨しています。
ORS(経口補水液)の作り方
水・・1リットル
砂糖・・・40g(大さじ4+1/2杯)
塩・・・3g(小さじ1/3杯)
ペットボトルに、上記の材料を混ぜたものを入れて、冷蔵庫で冷やしておくとよいですね。1人当たり1本を用意して、1日に飲みきる方法もよいかもしれません。
食生活の他に気をつけること
- 十分な睡眠を
- 十分な睡眠を取るのはもちろんですが、生活のリズムを崩さないようにします。
- バランスのとれた食事を
- 朝・昼・夕の3回の食事、主菜・副菜をきちんと取り、バランスのとれた食事をします。
- 六君子湯(りっくんしとう)
- 今注目されている漢方のようです。食欲がない時に、数日飲むとグレリンというホルモンを増やし食欲を増進させるようです。かかりつけ医や薬剤師さんに相談してみてください。
- 白湯(さゆ)を飲もう
- 白湯は体に優しいし、朝起きた直後に飲むのが、一番よいそうです。冷え対策にもおすすめです。お茶やコーヒーは、体を冷やします。お茶やコーヒーは、食後に飲むとよいです。
ぐっすり眠る工夫
夏バテを防ぐには、規則正しい生活を崩さないようにすることが大切です。夏は夜遅くまで活動しがちですが、十分に睡眠を取って、疲れを明日に残さないようにすることも大事です。以下のことに注意して、なるべく快適な睡眠がとれるように工夫してみてください。
- 体温の下降とともに眠気を覚える
- 体温は夕方に最高になり、早朝に最低となります。体温が下降していく時期に眠気を覚えるそうです。夏場は気温が下がらないと、体も熱も放熱されず体温がなかなか下がらず眠りにくくなるそうです。
- 安眠のためには
- エアコン、扇風機、氷枕などを使って室温や体温を下げます。お風呂は早めに済ませておきます。ぬるめの湯かシャワーもよいそうです。エアコンをタイマーで切る人は、2時間半から3時間後に切れるようにしたら良いそうです。参考にしてみてください。
- 寝具・ねまき
- 夏は一晩にコップ2杯の汗をかくそうです。寝具やねまきは、吸湿性や通気性のある物を使いましょう。
- 照明
- 強い人工光線に遅くまでさらされていると、なかなか寝つけないようです。光が差し込む部屋では、遮光カーテンで防ぐとよいそうです。
- 寝る前の飲食
- 空腹時も眠りにくくなります。カフェイン飲料を飲むと寝付きが悪くなることが多いです。アルコールは、寝付きがよくなりますが、尿量が増え途中で起きると眠れなくなりがちです。飲み過ぎに注意が必要です。
- 昼寝の勧め
- 睡眠不足を補うために昼寝がお勧めです。午後3頃に20~30分程度がよいです。あまり寝ると夜かえって眠れなくなります。