インフルエンザ治療法

インフルエンザ治療薬も新しい薬が開発され、1回の投与で熱も早く下がり、患者には大変ありがたいことになりました。しかし、熱が下がることで、早くから行動し、感染を広げる恐れも出てきました。

学校では、感染防止のために出席停止を1日多くしたところも出ています。

2014年1月のインフルエンザの状況

この冬の特徴は、H1N1型ウイルス感染者が多いということです。昨年度はインフルエンザ患者の7%がH1N1型ウイルスでしたが、今季は20%からだんだん多くなって27%にもなっているそうで、A香港型に次いで多くなっています。この型は若い人に多く感染すると言います。小・中・高校生やもう少し上の年代の人も要注意とのことです。そして、妊婦さんには、特に気をつけていただきたいものです。

また、札幌市では、抗ウイルス薬のタミフルが効かないタミフル耐性H1N1型株に罹る人が多いようです。39歳女性の場合は、発熱と呼吸困難で重症化したそうです。タミフルは効きませんでした。そこで、全国からウイルスを集めて検査しています。(H1N1型は、2009年~2010年に新型インフルエンザとして重症化しました。これからは、季節性インフルエンザとして定着し、毎年流行するとみられています)

タミフル耐性H1N1型には、リレンザが効果があります。が、吸入薬のために小さな子の場合には吐き出すことがあるために使いにくいとのことです。そこで、小さい子にはまずタミフルを使って経過をみることになります。A香港型やタミフルの効くH1N1型のことも多いからです。H1N1は気管支や肺で増殖すると言います。喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー体質の子は、特に注意が必要だそうです。また、糖尿病の人も注意してください。

A香港型は、高齢者を重症化させています。予防注射をしても集団感染した特別養護老人ホームがあります。調査した結果、ワクチンの効果が低かったそうです。インフルエンザワクチンの製造方法は、ウイルスを卵に入れて作りますが、突然変異を起こすと流行株とかなり違ったものができてしまいます。突然変異を起こすとH3n2になるようです。そこで、培養細胞を使ってワクチンを作る新しい製造方法も考えられています。

インフルエンザ治療薬について

健康な人は、インフルエンザにかかっても1週間前後で自然に治るそうです。が、持病のある人、高齢の人の中には肺炎や脳症を併発し、生命に重篤な影響を与えることがあるので、状況によってはインフルエンザ治療薬(タミフルやリレンザなど)が使われます。

そして、原則としてインフルエンザ楽天 治療薬を使う時には、発熱が出てから48時間以内に投与することで初めて効果を発揮します。

タミフル(内服薬)について

タミフルは、内服薬で、インフルエンザの症状で辛い時にも簡単に飲むことができます。しかし、子どもに異常行動が見られることがあります。そして、タミフル耐性ウイルスも確認されています。

タミフルは、1日2回、5日間服用します。A型インフルエンザ、B型インフルエンザ両方に効きます。2009年に流行した豚由来のインフルエンザ(A/H1N1)にも効きます。症状発現から48時間以内に使います。

腎臓の悪い人は、その旨を医師に伝えると良いそうです。

子どもがタミフルを飲んだ場合には、少なくとも2日間は注意深く見守りましょう。子供用の細粒(ドライシロップ)は、1包分を適量の水で溶いてから飲むようにします。大きい子供は、そのまま飲んでも良いですが、多めの水で飲ませてください。

タミフルの長所
内服薬で投与が簡単です。鳥インフルエンザや新型インフルエンザにも効果が期待されます。一定の条件を満たした場合には、予防投与が認められているようです。この場合には保険適応とはなりません。
タミフルの短所・副作用
服用後の異常行動(10代の若い人を中心に)との因果関係がわかっていません。服用後に腹痛や下痢・嘔吐の症状が出ることが比較的多いそうです。腹痛が27.5%、下痢が5.5%、嘔吐などが3.9%のようです。タミフル耐性ウイルスが確認されています。
重大な副作用は滅多にないそうですが、投薬開始時の初期症状には注意が必要です。主な副作用は、カプセル型では、腹痛、下痢、嘔吐があります。ドライシロップ型では、1~12歳の幼小児に使われますが、嘔吐、下痢などが多いようです。人によっては、他にもいろんな症状が出ることもあります。

リレンザ(吸入薬)について

リレンザは、吸入薬です。吸入薬なので、気管支を刺激し呼吸困難を起こすことも考えられるので、気管支ぜんそく、肺気腫、慢性気管支炎のある人は使えないようです。

リレンザは、1回2吸入で、1日2回、5日間吸入します。リレンザは、円盤の山ひとつが1吸入分で、1つの円盤に4つの山があり、円盤1枚で1日分となります。A型インフルエンザ、B型インフルエンザ両方に効きます。吸入薬が使える年齢である5歳以上が適応になります。症状発現から48時間以内に使います。

子どもがリレンザを吸入した場合には、少なくとも2日間は注意深く見守りましょう。

リレンザの長所
吸入後、効果の発現が比較的速やかで、吸入薬のために全身へ吸収されにくく安全性は比較的高いようです。国内でのリレンザ耐性ウイルスは、まだ報告されていません。
リレンザの短所・副作用
吸入薬なので、吸い込む力が弱いと効果が不十分となります。気管支ぜんそく、肺気腫、慢性気管支炎のある人は使えないようです。タミフルと比べ使った人数が少ないため、今後副作用が報告される可能性もあります。使用後に異常行動を起こした例も、少ないですが確認されているそうです。
リレンザの副作用としては、発疹、蕁麻疹、顔面浮腫、口腔咽頭浮腫等のアレルギー反応や気管支攣縮、呼吸困難などが報告されています。

イナビル(吸入薬)について

2010年10月、イナビルは国内で初めて開発された薬剤として、第一三共株式会社が製造販売しています。

イナビルは、吸入薬で症状が出てから48~72時間以内に投与する必要があります。A型インフルエンザ、B型インフルエンザ両方に効きます。子どもがイナビルを吸入した場合には、少なくとも2日間は注意深く見守りましょう。

成人や10歳以上の小児は40mg(20mgを2本)、10歳未満の小児は20mg(20mgを1本)を1回、吸入して使います。イナビルは、長期間作用型なので最初の1回だけ吸入すれば良く、飲み忘れを防ぐことができます。

イナビルの副作用
副作用はほとんどないそうですが、喘息のある人は、発作の誘発に念のため注意してください。初期症状(ショック、アナフィラキシー)には注意が必要です。その他、下痢、吐き気、発疹、蕁麻疹にも注意してください。

2013年12月、イナビルがA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の予防薬として効能が追加されました。予防としては、成人及び10歳以上の小児に対してラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを1日1回、2日間吸入投与するようです。

ラピアクタ(点滴薬)について

ラピアクタは、成人は、1回300mg(小児は体重で変わります)を、医療機関でインフルエンザと診断を受けた際に、約15分間かけて点滴します。1回だけの点滴による投与で良いそうです。

ラピアクタの点滴は、症状発現から48時間以内です。早めの受診が必要となります。A型インフルエンザ、B型インフルエンザ両方に効きます。子どもがラピアクタを点滴した場合には、少なくとも2日間は注意深く見守りましょう。

腎臓が悪い方は薬の作用が強くなることがあるので、そのことをすぐに医師に伝えましょう。

ラピアクタの副作用
成人では、下痢、好中球減少、蛋白尿が見られることも、小児では下痢、嘔吐が見られることが稀にあります。初期症状にも注意が必要です。

シンメトレル(アマンタジン)について

日本では1998年に「アマンタジン」がインフルエンザ治療薬(内服薬)として認可されました。ただし、A型インフルエンザにしか効果はありません。日本では抗ウイルス剤としての使用経験が少なく、また、アマンタジンを投与された患者の約30%でアマンタジン耐性のA型インフルエンザウイルスが出現するという報告もあることから安易な使用は慎むべきと言われています。

その他の治療薬(対症療法として)

抗菌薬(抗生物質)
風邪のウイルスには抗菌薬は効きませんが、インフルエンザには例外的に抗菌薬が効くことがあるそうです。肺炎などの合併症を起こす頻度が高いため、年齢によっては肺炎の予防効果につながるようです。
点滴
点滴は、脱水を改善するために行なわれます。ビタミン剤を点滴に入れることもあるようです。
解熱鎮痛剤
発熱や関節痛などの症状緩和のために使われることがあります。小児ではインフルエンザ感染時にアスピリンなどの一般的な解熱鎮痛剤を使うと、重い脳症や肝機能障害(ライ症候群)を併発する危険性が高まることから、解熱鎮痛剤の中でもアセトアミノフェン(商品名はカロナール、アンヒバなど)のみが使われます。成人でもアセトアミノフェンが使われることがあります。ちなみに、アスピリンは名前にピリンがついていますが、ピリン系薬剤ではないそうです。

インフルエンザに罹った児童・生徒の出席停止の問題

イナビル(吸入薬)やラピアクタ(点滴薬)という新しいインフルエンザの薬が出、それも1回の投与で済み、熱も翌日か翌々日には下がるという画期的な薬です。

しかし、薬で症状を抑えていても、体の中では、インフルエンザウイルスが、まだまだ多く排出もしています。まだ、治りきっていない状態で学校や職場に行くと、周りにインフルエンザをうつすことになります。

学校保健安全法
学校保健安全法では、インフルエンザは、解熱した後から2日を経過するまで出席を停止することになっています。

通常は熱が3日間ほど出て、2日休んで、5日目に登校しますが、イナビル(吸入薬)やラピアクタ(点滴薬)を使うと3~4日目に登校することになります。まだ、インフルエンザを感染させる可能性があります。

そこで、ある学校では感染を広げないために、学級閉鎖を3日から4日に1日多く延期することにしました。

新しい薬ができたことから、早く解熱するために、早くから行動し感染を広げる恐れが出ています。学校保健安全法の見直しが必要なようです。

2012年4月1日から、「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日間」に改める方針に!

文部科学省は、小中高生、大学生がインフルエンザを発症した際の学校の出席停止期間について、現行基準の「解熱後2日間」から「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日間」に改める方針を決めました。

イナビルなど抗インフル薬の普及で解熱が早くなり、感染力が残ったまま登校するケースが増えているための対策です。発症後5日を過ぎれば、ウイルスがほとんど検出されなくなるという研究報告を踏まえました。

幼稚園児は「発症後5日を経過し、かつ解熱した後3日間」とするようです。また、おたふくかぜ、百日ぜきについては、症状などによって出席停止期間を細かく規定するよう見直すそうです。関係省令を改正し、4月1日から実施する方針のようです。

キキョウの花
RSS
Author:Tomoko Ishikawa Valid HTML5 Valid CSS

PageSpeed

Lighthouse(Mo)

Lighthouse(PC)

楽天市場

更新日:2020/03/15